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研究報告会レポート

第6回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会レポート「OiCy Serviceとスマートキッチン〜データがキッチンを進化させる〜」

第6回 インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
テーマ:「OiCy Serviceとスマートキッチン〜データがキッチンを進化させる〜」
日 程:2018年12月13日(木)19:00-21:00
場 所:青山学院大学青山キャンパス
 
【報告会レポート】
 インダストリー・イノベーションとは、本研究会での造語でありAI, IoTなど先端デジタル・テクノロジーにより、産業・業態などレベルでの破壊的イノベーションが起きている事象を様相として捉え、企業経営、事業展開への影響を探り、個別の経営事例へと橋渡しするために「ブランディング」の枠組み(中範囲の理論枠)と照応して、その可能性を探求しようとしている。
 
 今回は、インダストリー・イノベーションの様相として、ゲスト講師として住朋享氏から、クックパット様での取り組みとして、先端デジタル技術を介した食における業態の変化やテクノロジーを介してのつながりとして新しい取り組みをご講演していただいた。住 朋享(すみ ともみち)氏は、クックパッド株式会社 事業開発部 Cookpad Ventures グループリーダーであり、ベンチャーとの共創による新規事業創出に向けて、スマートキッチン向けのプラットフォーム事業「OiCy」を立ち上げた。
 
 クックパットは、累計レシピ数約300万。月次利用者数5400万人、 8割以上がスマホからのアクセス であり、90%が女性20〜40代であり、国内だけでなく、海外では23言語、68カ国、3800万人の月間利用者数、レシピは180万品、100カ国でNo1となっている。実は、クックパットは、定款変更を2018年3月に以下のように変更したという。
 
1.当会社は「毎日の料理を楽しみにする」ために存在し、これをミッションとする。
2.世界中のすべての家庭において、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する。
 
 この変更にネガティブ・ポジティブな評価が入り乱れたという。この背景には、クックパット内部で悩み抜いた2年間がある。そのテーマは、①可能性を誰よりも深く考える。料理とは一体なんなのか? 新規事業には必要なことは何か?②世の中の課題を解決し、世界を変える事業推進を目指すこと、③よりクレージーな会社、組織とは?であった。そのため、ワークショップを実施して、「食と料理にまつわる社会課題マップ」を作りあげた。そのマップから料理に関係している課題のうち、今のレシピ事業はわずかな領域しか解決できていない事に気づいた。その認識に基づき、自分たちにとって、大切にしたい価値観、作り出したい未来を編み上げていく。その結果として、「社会問題と関連して個人が抱えている課題を解決する事業を創出し料理を通して、世の中をよくしたい」と事業再編を開始する。メッセージは「料理を作ることは地球のこれからをつくること。」
 
 人々の様々な食の課題を新しいテクノロジや新規事業によって解決し「誰もが料理を楽しんで幸せになる未来」を創出するため、社内新規事業推進やオープンイノベーション推進、スマートキッチン事業の立ち上げ、世界をよりよく変えるアクセスレータープログラムを推進する。Cookpad Accelerator責任者であり、2018年12月1日 スマートキッチン事業部 Biz Dev & Strategy General Manager に就任した。
振り返れば、技術が生活のサービスのニーズを変えてきた。2000年誰もがネットに接続して、情報を探す時代としてクックパットは台頭してきた。機械が認知能力を超える時代では、それはどうなるのだろうか。スマートキッチンが実現し、冷蔵庫が自ら何が入っているのかを理解し、人が料理の手順に迷うこともなく、オーブンが適切な調理法を自ら見極め、調理ロボットが料理をする世界では・・・・・。レシピのその先へ、おいしいスマートキッチンの実現に向けて、OiCy(Open integration, Cooking with you)がレシピを機械が読める形で提供(MRR;Machine Readable Recipe)し、モノづくり、コトづくりをサポートしていこうとしている。
 
https://oicy.cookpad.com
 
 Cookpad2.0として目指すのは、スマホ、PCで検索され、人気レシピを決めていくことではない。様々な機器や情報が連携する中で、機器情報、調理法、味、食感、栄養価値、健康状態、好みなどその人に合った物を一緒に考えてさらに料理を作るサポートをする展開である。そのため、オープンイノベーションを通じて、①どんな情報、データと組み合わせるのか?誰と組むのか? ②どんな意味付けが重要か、③どんな体験を産むのか、それは良い体験なのか?を問いながら展開していくことである。OiCyが目指すのは、AI,IoTが当たり前の時代に世界中の家電やサービスとつながり、世界中の人々が料理を楽しむことでより良い人類の未来をつなぐスマートキッチンプラットフォームである。質疑応答では、ワークショップの様子や、デザインスプリント(グーグルが開発した短期間での集約的ワークショップ方法)での対話、クックパットが目指すクレイジーな会社とはどんな会社なのか、を巡って白熱した論議が交わされた。
 
(文責:森 一彦)

 
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