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研究報告会レポート

第9回スポーツマーケティング研究報告会レポート「ポスト2020のスポーツ経営人材育成戦略」:早稲田大学「スポーツMBA Essence」公開セミナー

第9回 スポーツマーケティング研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
テーマ:ポスト2020のスポーツ経営人材育成戦略:早稲田大学「スポーツMBA Essence」公開セミナー
日 程:2019年5月31日(金)19:00-20:30
場 所:早稲田大学 国際会議場 井深ホール
 
【報告会レポート】

1. スポーツ経営人材に求められる思考法
(株)電通 グローバルスポーツ局DMD兼サッカー事業室長 大井 義洋 氏

1993年電通入社。マーケティング局、プロジェクト開発局等を経て2000年よりサッカー事業局、現在に至る。2002年FIFAW杯日本開催を経験後、主にアジアのスポーツビジネス、サッカービジネスに従事。サッカーマーケティングやサッカー戦術分析に関する雑誌寄稿多数。経営学博士(DBA)。

 「スポーツ経営人材に求められる思考法」と題して、大井氏よりスポーツビジネスの世界で今後求められる人物像に関する講演が行われた。最初に、スポーツ経営人材が求められる時代背景として、グローバルビジネス環境の変化についてFIFAワールドカップのスポンサー企業の変化、世界のスポーツリーグの市場成長や収入の推移についてなどデータに基づいた報告が行われた。その後、スポーツ経営について「ステークホルダーの多様性」、「競技成績と経営のバランス」の2つの視点から言及し、他の産業と異なるの難しさがある点を強調した。そして、そのような業界においてイノベーションを起こすためには、クラフト(実践・経験知)、サイエンス(科学的アプローチ・論理性・理論)、アート(直感・創造性・ビジョン) の3つのバランスが重要であるとし、経験のみで語る仕事の思考(スタイル)からの脱却が必要であるとまとめた。
 

2. アメリカにおけるスポーツMBA教育の現状と課題
ジョージタウン大学ビジネススクール・エグゼクティブ教育シニアアドバイザー ジミー・リン 氏

スポーツエンターテインメントの分野で30年以上活躍し続けるデジタルスポーツ界のパイオニア。AOL(米大手インターネットサービス会社)では副社長を務め、在籍した14年間の活躍で同社をデジタルスポーツ界における国際的なメディアとしてとして確立させた。スポーツ観戦アプリ「Kiswe」の共同創設者兼副社長でもあり戦略開発にも携わる。またCBS(米最大のテレビ・ラジオネットワークの1つ)ではスポーツプログラムの宣伝部長を務める。こうした経験を通じて米ワシントンDCから社会貢献指導者として表彰もされている。

 初めに、スポーツビジネスを学ぶカリキュラムの現状について、アジアでは発展途上であることや、日本や中国を含むアジアがスポーツ産業にまだまだポテンシャルがあることを言及した。その後、アメリカに存在する約500の大学で提供されているほとんどのスポーツマネジメントプログラムが理論や研究に焦点あてていることに触れ、現場での実習とのハイブリッドなプログラムを提供しているジョージタウン大学の事例が紹介された。
 ジョージタウン大学におけるスポーツマネジメントプログラムの違いは、NFL、NBA、NHL、MLS、といった主要なプロスポーツ、オクタゴン社、アンダーアーマー社、アメリカオリンピック委員会など多様なスポーツ関連企業とのパートナーシップ、ロンドン、バルセロナ、リオデジャネイロなどを拠点にとするグローバルなスポーツビジネス研修、日本、中国、韓国、台湾、フィリピンなどアジア諸国を中心とした留学生の受け入れの3点が挙げられる。このような多様なリソースを通じて、デジタルメディアを通じたD2Cマーケティング、e-Sports、CSRなどスポーツビジネスにおけるトレンドへ理解を深める機会の創出にも柔軟な対応が可能である。
 ジミー氏は最後に、スポーツビジネスが今後もグローバルに進化し続ける可能性について言及し、早稲田大学とジョージタウンの連携を通じたアジアで最高のスポーツマネジメントプログラムの提供への想いを語り、講演を締めた。

 

3. スポーツMBA Essence の成果報告1
株式会社F&Lアソシエイツ代表取締役社長 早稲田大学スポーツ MBA Essence 第2期生 大竹 哲郎 氏

1967年生まれ。北海道大学経済学部経営学科卒業。1991 年、石川島播磨重工業株式会社
(現・株式会社IHI)に入社し、23年間にわたって人事労務を担当。2014 年に独立し、人事コンサルティングを行いながらスポーツメンタルコーチとして活動している。スポー ツメンタルコーチングを産業として日本スポーツ界に広めることを目指して活動中。

 早稲田大学スポーツ MBA Essence 第2期生の大竹氏より「学びのダイナミズム」と題して、スポーツMBA Essence 全体の様子について共有がなされた。大竹氏は、クラスの概要(受講生層、年間スケジュール、講義内容)、グループプロジェクト、修了後の学びと今後取り組みの3つの観点からMBA Essenceでの学びを振り返った。
 ここで言うグループプロジェクトとは、各グループ4~5名程度のグループが、それぞれ
スポーツビジネスに関連するテーマを設定して研究を行うものである。グループプログラムでは、現実における課題抽出を行い、講義で学んだこと、文献やネットでの調査、アメリカにおける研修で学んだことを駆使して、具体的なアイデアに落とし込みを行う。
 大竹氏は自身の取り組んだ「ODAIBA Sports & Entertainment PARK – アルバルク トヨタ アリーナ(仮称)を起点にした、お台場・青海エリアの再開発について – 」を取り上げ、グループプロジェクトを通じた学びを紹介をした。
 最後に、今後の目標として全国のスポーツ指導者に、「選手の主体的な成長を引き出すスポーツメンタルコーチング」を伝えたいという熱い想いを語り、修了生としてのさらなる飛躍を誓った。
 

4. スポーツMBA Essence の成果報告2
ADKマーケティング・ソリューションズ エンタテイメント&スポーツ事業開発本部 シニア・プロデューサー
早稲田大学スポーツ MBA Essence 第2期生 飯島 みゆき 氏

早稲田大学教育学部卒業。2005年アサツーディ・ケイ入社。主に国内クライアントの営業を担当。2011年より通販化粧品ブランドの海外ビジネス立ち上げに従事し、香港に駐在。2016年に現部署に異動し、主に海外マラソン大会や国内最大規模の女子プロテニス国際大会を担当。協賛セールスや海外権利元との交渉、その他海外関連協力会社との折衝を担当。

 早稲田大学スポーツ MBA Essence 第2期生の飯島氏より、2019年2月5日〜9日に行われた海外研修(ニューヨーク&ワシントン D.C.)の報告が行われた。本研修には、1期生が3名、2期生が13名、合計16名が参加した。講演内では、訪問した施設、試合観戦、講義の3つの視点から研修内容の共有がなされた。
 最初に、訪問先であるMadison Square Garden、Barclays Center、Capital One Arena に関して、多種目、多目的で使用されて稼働率が高いアリーナにおける工夫について事例紹介が行われた。また、John Thompson Athletic Center の訪問を通じた、海外の大学スポーツの規模感や施設の充実具合についても共有がなされた。
 次に、エンターテイメント産業としてのコンテンツ、観戦者層の多様性をキーワードにMBA、NHL、NCAA(バスケットボール)の観戦経験からの学びが紹介された。
 最後にNew York University、Georgetown University、Monumental Sports & Entertainment 社における講義について内容の部分的な紹介が行われた。
 飯島氏は、「アメリカにおけるスポーツビジネスのフレームが、全て日本のフレームに当てはまるわけではない。アメリカのスポーツビジネスのどこをどのように最適化し、日本へ取り入れていくのかを考える必要がある。」と述べ、「研修を通じて同じ目的や夢を持った仲間と視察ができたことも本研修における収穫である。」として研修内容をまとめ た。
 

5. 早稲田大学スポーツ MBA Essence 概要説明①
早稲田大学スポーツ科学学術院 教授 原田 宗彦 氏

1954 年大阪生まれ。1984 年ペンシルバニア州立大学博士課程修了(Ph.D.)。フルブライト上級研究員、大阪体育大学大学院教授などを経て、2005 年から早稲田大学スポーツ科学学術院教授。主な著書に、『スポーツイベントの経済学』(2002年)、『スポーツマーケティング』(2008年)『スポーツ産業論第6版』(2015年)『スポーツ都市戦略』(2016年)など一般社団日本スポーツツーリズム推進機構代表理事、日本スポーツマネジメント学会会長などを務める。

 原田氏は冒頭で、昭和、平成のスポーツ文化の発展について外観し、令和におけるスポーツ文化がどのようになっていくかの見解を述べた。その後、この時代にこそスポーツ経営人材が求められることについて言及し、その教育現場の事例として日本初のスポーツ科学× ビジネススクールの連携カリキュラムである早稲田大学スポーツ MBA Essence について紹介が行われた。
 紹介の中で、本プログラムはあえてノンディグリーであることについて言及し、自己本位的な学びを楽しむことができることを強調した。さらにカリキュラムの質や講師はトップクラスであり、エグゼクティブパネルによる最新情報の提供など学びの質や機会の豊富さ関して触れた。最後に、プログラムを通じて形成された修了生によるネットワークが、イノベーションの起点として機能する可能性を示唆してプログラム概要説明を締めた。
 

6. 早稲田大学スポーツ MBA Essence 概要説明②
早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授 菅野 寛 氏

東京工業大学工学部卒。同大学院修士課程修了。(株)日建設計に勤務後、米国カーネギーメロン大学にて経営工学修士取得。その後、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)にて十数年間、日本およびグローバル企業に対してさまざまなコンサルティング・サービスを提供。BCG テクノロジー、メディアおよびテレコミュニケーション専門部会のアジア/パシフィック地区リーダーを経て2008年より一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。2016年より現職。

 菅野氏は、政府が出している「600兆円に向けた官民戦略プロジェクト10」を用いて、スポーツビジネスの可能性に触れながら、経営力と新規事業立案力を兼ね備えたスポーツ経営人材の必要性について言及した。
 そしてビジネススクールの立場から提供できる価値として、「5年後、10年後もさびつかない経営の思考法」、「新しいトレンドを読み解く力」の2つを挙げた。前者を養う環境として、戦略、マーケティング、事業開発、組織人材、アカウンティングの専門講師たちとスポーツと文化、ビジネス、観光を網羅する多様な講義科目による実践的で体系的な講義を紹介した。後者については、デジタル革命について Wikipedia、airbnb、UBERの3つの事例を通じて、分散小規模資源の組織化をキーワードに、本質を理解して新しいトレンドを考察することの重要さについて述べた。
 最後に、これまでの早稲田大学スポーツMBA Essence の2期を振り返り、業界のネットワーク構築の重要さを強調し講演を終えた。

 
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