第169回マーケティングサロンレポート「学会なのに楽しいのはなぜ?~『マーケティングサロン』10年、170回開催して」 |
第169回マーケティングサロン:リアル・オンライン併用開催
テーマ:学会なのに楽しいのはなぜ?~「マーケティングサロン」10年、170回開催して
日 程:2023年2月19日(日)13:00-14:30
場 所:九州博報堂の共創スペースQHub
およびZoom使用によるオンライン開催
ゲスト:京ヶ島 弥生 氏(日本マーケティング学会 副会長、サロン委員長 / 有限会社フロスヴィータ 代表取締役)
西川 英彦 氏(日本マーケティング学会 副会長 / 法政大学 経営学部 教授)
有馬 隆文 氏(佐賀大学 芸術地域デザイン学部 教授)
サロン委員:山口 夕妃子、小野 和美、副田 治
【ゲストプロフィール】
京ヶ島 弥生 氏
有限会社フロスヴィータ 代表取締役 / 関東学院大学 経営学部 非常勤講師 / 日本マーケティング学会 副会長
早稲田大学第一文学部ドイツ文学専攻卒業、法政大学大学院社会科学研究科経営学専攻マーケティングコース修了、修士(経営学)。株式会社リクルート、国立大学法人東京大学広報室特任専門員などを経て現職。フラワー&アロマセラピストの肩書を持ち、自社で自然療法の普及活動を行う傍ら、自然療法家や女性起業家のコンサルティングも行っている。
分担執筆『ブランド戦略・ケースブック』第5章 CASE5(2012同文舘出版)、『ブランド戦略ケースブック2.0』第Ⅱ部 ケース03(2021同文舘出版)
西川 英彦 氏
法政大学 経営学部 教授
神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了、博士(商学)。ワールド、ムジ・ネット取締役、立命館大学経営学部准教授・教授を経て、2010年から現職。法政大学大学院経営学研究科長、日本マーケティング学会副会長、マーケティングジャーナル編集委員長、複数社の社外取締役などを歴任。主な著書に、『1からのデジタル・マーケティング』碩学舎(共編著、日本マーケティング本大賞2019大賞受賞)、『1からの商品企画』碩学舎(共編著)、『ネット・リテラシー:ソーシャルメディア利用の規定因』白桃書房(共著)、”The Value of Marketing Crowdsourced New Products as Such: Evidence from Two Randomized Field Experiments”(共著、Journal of Marketing Research、54(4))など。日経産業新聞にてコラム「西川英彦の目」を連載中。専門は、デジタル・マーケティング、ユーザー・イノベーション
【サロンレポート】
九州サロンではオンライン開催が続いていましたが、久しぶりに対面とZoomによるハイブリット開催で実施しました。
概要
1. 講演:「学会なのに楽しいのはなぜ?~『マーケティングサロン』10年、170回開催して」
京ヶ島 弥生 氏
日本マーケティング学会の4つの柱のひとつであるマーケティングサロンは、学会発足から10年以上にわたり、毎月1-2回のペースで170回以上開催されています。初回は2013年1月に開催され、「『瞬足』ブランドはなぜ強いブランドに育ったのか?」というテーマで行われ、乾杯後に講師の話を聞き、最後にディスカッションをして参加者と講師の双方向で議論を深めるスタイルで行われ、その後のサロンのスタイルを確立させました。
発足当初のサロンは、終わった直後に次回の予定が埋まるほどの盛況ぶりでした。その後地方開催も含めて拡大していきました。2013年5月には関西で初めて開催され、その後も中部や北海道、九州など各地でサロンが開催されました。
マーケティングサロンは、実務家会員が65%を占め、最新のマーケティングイシューや研究対象の共有に貢献しています。また、東京や大阪から始まり、順次名古屋、札幌、福岡などへと開催範囲が拡大され、地域ごとのアプローチや課題に対応するようになってきました。さらに、COVID-19の影響でオンラインやハイブリッド形式での開催も行われ、柔軟性を持って対応しているというところが現状です。
テーマとしては、初期はマーケティング戦略に関連するものが多く、現在も継続的このテーマを取り扱っています。現在はデジタル関連のテーマが増えてきました。サロンの特徴としてはマーケターのかかわり方といったテーマのもが毎年出てくることです。
サロンに参加する会員は、単に学びたいだけでなく、情報や動向を知りたいと考えており、交流やアイデアの共有が魅力となっています。開催場所や方法は、学会の方針に沿って実務家とアカデミアが協働し、楽しみながら深い議論が行われることで学会の深化に寄与しています。
2. 対談:京ヶ島弥生氏 × 西川英彦氏
本対談では、西川氏が、実務の方が参加しやすい学会企画を考えてた時に、Barで飲みながら、講師の方を囲みながらお話を伺いたいし、フランクで雑談のような形でできないかと考えていたとサロンができる経緯のところからお話しいただきました。
京ヶ島氏と西川氏のディスカッションを中心としながら、サロンらしく参加者の方々からも様々なご意見を頂きました。リサプロはリーダーの意向に沿って開催にするので、それに比べるとサロンの位置づけは、実験の場という形になるのではないかという意見やサロンの自由度高くというところが良いなどとサロンの意義について議論を深めていくことができました。オンライン・対面の参加者の皆様とサロンの存在が学会を楽しい存在にしてくれているということを再認識しました。
3. 博多まち歩き:天神から博多へ移動 博多駅-御供所地区周辺を散策
有馬 隆文 氏(佐賀大学 芸術地域デザイン学部 教授)
新しいまちづくりが進みつつある博多駅周辺地区と伝統的な寺社仏閣が集中する御供所地区(博多駅隣接)を対象として、都市計画・都市デザインの専門家(佐賀大学 芸術地域デザイン学部 教授 有馬 隆文 氏)にまちの形成の歴史やデザインを語っていただきながらまち歩き(博多駅-御供所地区を散策)しました。
マーケティング観点のまちづくりや都市ブランディングのお話はサロンでもリサプロでもよくあると思うのですが、都市計画・都市デザインの観点からのまちづくり(博多コネクティッドプロジェクトや「モノ消費」から「コト消費」へを意識した博多駅前広場整備)のお話をお伺いしました。
【サロンを終えて】
サロン委員長の京ヶ島弥生氏に日本マーケティング学会の特徴であるサロン誕生秘話やそれぞれサロン委員の特徴を活かした様々な形のサロンについて報告して頂きました。
また副会長であり次期会長である西川英彦氏からはサロン開催の経緯や今後についてお話しいただき、サロン参加者からも活発な質疑応答が繰り広げられ、今後のサロン運営に関する貴重なご意見を賜りました。
久しぶりの対面開催ということもあり、博多まち歩きも実施し、今回のサロンテーマである「楽しさ」を十分に満喫しました。今後対面、オンライン、ハイブリット開催など多様な開催方法で実施され、さらにパワーアップしていけたらと九州サロン一同思いました。
(文責:山口 夕妃子)