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研究報告会レポート

第9回ソロモン流消費者行動分析研究報告会レポート 連続模擬講義「『1からの消費者行動』を小石川ファミリーと学ぼう!」(第6回)

第9回 ソロモン流消費者行動分析研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
連続模擬講義「『1からの消費者行動』を小石川ファミリーと学ぼう!」(第6回)
日 程:2016年9月21日(水)18:40~21:10
場 所:法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー25階 研究所会議室5
 
構成:
1. 18:30〜19:40 第11章 家族―小石川家の買い物は誰が決めているのか?(50分講義、20分質疑)
 講師:北村 真琴(東京経済大学 経営学部 准教授)
(19:40〜19:50 休憩)
2. 19:50〜21:00 第12章 集団による消費―なぜ友人同士の服装は似てしまうのか?(50分講義、20分質疑)
 講師:石井 裕明(成蹊大学 経済学部 准教授)
 

【報告会レポート】
 今回の研究報告会では、『1からの消費者行動』の第11章を執筆された北村先生と、第12章を担当された石井先生による模擬講義が行われました。研究会の冒頭では、今回のテーマ(社会的存在として消費者)について、法政大学の西川先生から説明がなされました。
 研究会の前半は、家族による消費に関する北村先生の講義です。まず、個人としてではなく、家族として消費するモノやサービスが数多くあることが示されます。家族の定義を確認した上で、家族の購買意思決定のプロセスについて、ショートストーリーをもとに説明されていきます。また、家族の購買意思決定のタイプが4つに整理され、家族のメンバーの影響力が商品カテゴリーによって異なる点が検討されました。
 さらに、家族にはライフサイクルが存在しており、企業もそのライフサイクルに合わせて製品を提供していることが、事例を交えて解説されていきます。家族による消費に関する概念や枠組みを紹介しながら、現代版家族のライフサイクル、家族形態の変化、LGBT市場、ペット市場といった実態についての解説も織り交ぜていきます。講義の終盤には、消費者としての子供の社会化がテーマとして取り上げられ、幼い子供への商業主義の影響についても検討されました。
 講義全体を通じて、家族による消費に関する概念や枠組みについて、データに裏付けられた消費の実態と企業の具体的な取り組みを関連させて理解を促す講義に、実務家の方だけでなく、消費者行動論を担当する教員にとっても多くの学びがあったのではないでしょうか。
 
北村先生(講義風景)
 
 研究会の後半は、集団による消費についての石井先生の講義です。冒頭で、写真の共有を前提としたモノやサービスの消費といった大学生の消費の現状を題材にしながら、消費が他者から受ける影響について検討が進められていきます。スポーツ観戦におけるユニフォームの着用をめぐる事例をもとに、準拠集団による3つの影響や準拠集団のタイプなどについて説明されていきます。また、製品カテゴリー別の準拠集団の影響については、スタッドレスタイヤやニキビ薬などを事例に詳しく解説がされました。
 続いて、オピニオンリーダーの特徴について、コミュニケーションの二段階流れモデルや目利き(market maven)といった概念を紹介しながら、深い理解が促されていきます。講義の終盤には、口コミに焦点が合わせられ、発信側と受信側に注目しながら、口コミの動機やその影響力が検討されていきます。こうした口コミを利用したマーケティング手法についても紹介がありました。
 講義終了後には、オピニオンリーダーを見つける方法や、異なる文化における準拠集団の影響の相違などについて参加者から質問が寄せられ、議論が交わされました。石井先生からは、質問と関連する論文についても紹介がありました。
 講義のなかでは、バランス理論など、教科書では触れられなかった理論や概念にも言及があり、参加者の皆さんは、教科書の内容のみならず、プラスアルファの内容を学べたのではないでしょうか。研究会のメンバーも、大学生の消費の現状を織り交ぜながら参加者の皆さんに質問を投げかけて展開されていく講義に終始魅了されました。
 
石井先生(講義風景)
 
(文責:大竹光寿)

 
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