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研究報告会レポート

第11回ソロモン流消費者行動分析研究報告会レポート 連続模擬講義「『1からの消費者行動』を小石川ファミリーと学ぼう!」(第8回)

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連続模擬講義「『1からの消費者行動』を小石川ファミリーと学ぼう!」(第8回)
日 程:2016年11月17日(木)18:40~21:10
場 所:法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー19階 研究所会議室4
 
構成:
1. 18:40〜19:50 第15章文化―聖地巡礼も消費者行動?(50分講義、20分質疑)
 講師:大竹 光寿(明治学院大学 経済学部 准教授)
(19:50〜20:00 休憩)
2. 20:00〜21:10 編者による振り返りと教員・実務家の利用例の紹介(50分講義、20分質疑)
 講師:松井 剛(一橋大学大学院 商学研究科 教授)
    西川 英彦(法政大学 経営学部 教授)
 

【報告会レポート】
 今回の研究会は、連続模擬講義の最終回です。前半は『1からの消費者行動』の最終章15章についての模擬講義、後半は本書の編者による振り返りと教員・実務家の利用例の紹介です。
 まず、本レポートの執筆者、大竹による「文化と消費」に関する講義です。サプールという集団、マッチ箱やコースターなどの収集、聖地巡礼、バレンタインデーなどを取り上げて、モノやサービス、それらの消費には、機能的な側面のみならず、意味的・文化的な側面があることが確認されていきます。テキストにあるショートストーリーの内容とともに、大型二輪車ハーレーダビッドソンを題材にして、消費者がモノやサービスに与えられた文化的な意味を表現したり読み取ったりする側面について説明が加えられていきました。
 次に、周りから見ると何気ないモノであっても、その人にとって特別な意味を持つことが、聖なる消費や俗なる消費という概念を通じて検討されていきます。具体的には、モノや人、経験などが神聖化の対象となり、収集や相続などが神聖化の手段となっていることが示されます。逆に、ハロウィンに代表されるように、聖的あるいは象徴的な物事から特別な意味合いが取り除かれるという脱神聖化についても説明されました。
 講義の終盤では、こうした消費の文化的側面をより深く理解するために、儀式としての消費について解説されていきます。決められた手順によって定期的に繰り返される象徴的な行動として、手入れの儀式や贈与の儀式などが紹介されました。講義の後には、編者の一人である松井先生の司会のもと、神聖化や贈与という行為を中心に、参加者の皆さんと活発な議論が展開されました。また、編者の西川先生からは、儀式としての消費の一例として、若年層を中心に流行している化粧品ブランド「シーブリーズ」のキャップ交換が紹介されました。質疑応答を通じて編者の先生方から、本章の概念や理論を実務で応用する視点が具体的に示され、熱心にメモをとる参加者の皆さんの姿が印象的でした。
 
研究会風景
 
 研究会の後半は、編者による振り返りと教員・実務家の利用例の紹介です。まず松井先生から、講義形式の授業における『1からの消費者行動』の活用例が示されていきます。本書の各章に記載されている「考えてみよう」を用いて、学生自身の考えをパワーポイントのスライド1枚にまとめさせ、概念や理論を使って身近な現象を説明するという機会を設けていることが紹介されました。また、本書では触れられなかった応用的な視点については、『ソロモン消費者行動論』(丸善出版)で紹介されている概念や理論を取り上げていることが説明されました。
 続いて西川先生から、ゼミナールにおける本書の活用例が紹介されていきます。具体的には、マーケティングの標準的なテキストや『1からの商品企画』に加えて、本書を用いて学生に商品企画の作法を身につける工夫が紹介されていきます。製品やサービスの受け手である消費者やその行動について、概念や理論を通じて深く理解させることで、商品企画に関する力を学生に身につけさせていくことが事例を交えて示されました。活用例の紹介の後は、西川先生のゼミに参加されている学生から、本書を用いた学びについてコメントがなされました。
 最後に、企業で実際に本書を活用されている実務家の方から、具体的な活用例を報告していただきました。また、今後実務の現場で本書を活用していきたいとの声が会場からあがり、実際にどのように使っていくのかを示していただきました。
 参加者の皆様からフィードバックをいただくことができ、執筆者一同、ここに記して感謝申し上げます。
 
(文責:大竹光寿)

 
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