第1回場所と地域のブランディング研究報告会レポート 地域創生の鍵を握る「プレイス・ブランディング」とは?―東急池上線の事例から― |
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テーマ:地域創生の鍵を握る「プレイス・ブランディング」とは?―東急池上線の事例から―
報告1:「プレイス・ブランディングの成功の秘訣」
若林 宏保 氏((株)電通 クリエーティブ・ディレクター)
報告2:「東急電鉄の考える“まちづくり”とは?」
平江 良成 氏(東京急行電鉄(株) 開発事業部沿線資産営業グループ統括部長)
パネル・ディスカッション「プレイス・ブランディングとは何か?」
<パネラー>
平江 良成 氏(同上)
若林 宏保 氏(同上)
小林 哲 氏(大阪市立大学 経営学研究科 教授)
日 程:2019年6月21日(金)16:30-18:00
場 所:電通ホール
【報告会レポート】
報告会では2018年に刊行された『プレイス・ブランディング』(有斐閣)を下敷きに、東急池上線の沿線ブランディングに関わったメンバーから、その思想的背景や実践について報告いただき、研究会メンバーや聴衆を含めディスカッションを行いました。
プレイス・ブランディングの実践報告(左:若林宏保氏 右:平江良成氏)
まず、「生活名所」という池上線の創造的意味づけから、それを支える風景や人々の選定、体験の場はいかに整えられていったのか。プロジェクトの認知や沿線住民の愛着を高めるPRの仕掛けなど、プロジェクトのディレクションを行った若林氏より、その実践について報告がありました。「行政区でくくられる地域マネジメントは限界にきている。場所という視点で柔軟に単位を設定し、よくまとまったコンセプトでなく、余白のあるディレクションによって、さまざまなアクターがかかわる誘発が起こる。」とまとめ、おみこしスタイルのブランディングの持続性の高さを指摘しました。
「東急は電鉄ではなく、まちづくり会社です。」平江氏からは東急電鉄の成り立ちと思想の振り返りがなされ、沿線のブランディングは電鉄会社が主導するのではなく、地元の人々の自走を促すことの大切さが指摘されました。「立地が違えば、人も違う。」という認識のもと、まちとの関係性を丹念に育む姿勢は、Creating Shared Value(共通価値の創造)への学びにもなりました。
パネル・ディスカッションの風景(左から小林氏、平江氏、若林氏)
続くパネル・ディスカッションでは、小林氏のファシリテーションのもと、池上線ブランディングの取り組みが掘り下げられました。フロアからはプレイス・ブランディングにおける行政の役割、東急の目指すエリアマネジメントといった実践的内容から、プレイス・ブランディングと既存の地域ブランディングの違い、地域アイデンティティの液状化の問題といった学術的内容まで、幅広い質問が投げかけられ、会場全体で学びを共有しました。
フロアからの質問風景
本研究会は、学際的に、実務者を交えてプレイス・ブランディングに関心を持つ人たちのつながりを作り、新しい概念を共有する場としていきたいと思います。ご自身の取り組みや研究を報告したい。実践での悩みを共有する機会としたい。ブランディングの手法を磨きたい。プレイス・ブランディングにかかわるさまざまなニーズをお寄せください。
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