第7回デザイン思考研究報告会レポート「富士ゼロックスの実践 『Future Centerとデザイン思考』」 |
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テーマ:「富士ゼロックスの実践 『Future Centerとデザイン思考』」
講演者:富士ゼロックス株式会社
価値創造コンサルティング部長 仙石 太郎 氏
ヒューマンインターフェースデザイン部 サービスソリューションデザインG長 蓮池 公威 氏
日 程:2019年6月28日(金)15:30-17:30
場 所:富士ゼロックス株式会社 15階 『富士ゼロックス KDI Studio & Future Center』
【研究報告】
富士ゼロックスでは、2000年代初頭から知的生産性を高めるため、フューチャーセンター・サービスと呼ぶ、仕事や会議の環境を提供するサービス提供している。会の冒頭では会場のフューチャーセンターの概要説明と実際のワークスペースを案内頂いた。
フューチャーセンターとは北欧で誕生した取り組みである。国や地域が抱える問題を多様な利害関係者が集まり検討する。富士ゼロックスが進めるフューチャーセンター・サービスとは、組織が、積極的に、協力的、体系的に方法で未来に向けた新たな機会創造を支援する場を提供するサービスである。そのサービスをクライアントに体感してもらう、情報発信の拠点としてこの施設は存在する。
デザイン思考との共通点は、①人間中心の探索行動、②作業環境の整備である。
①人間中心の探索行動とは、人間の行動から問題仮説を発見することを重視する。その問題仮説を解決する体験を創造しサービスとして実現する。問題仮説の発見には観察が重要であり、観察からの問題仮説の発見の障害となるのがバイアスであることはデザイン思考が指摘するところと重なる。
フューチャーセンター・サービスでは、人間中心の探索行動に、フューチャースキャニング(未来洞察)とエスノグラフィの2つの手法を活用する。
②作業環境の整備とは、思考する環境を整えることである。デザイン思考においてもワーク環境の重要性が指摘されているが、我が国ではデザイン思考の実践時の環境に関する理解は十分ではない。フューチャーセンターの説明時には設立の理念や関与した人々と共に、空間(環境)デザインについても具体的な仕掛けを説明頂いた。グループワーク時のスペースと個人ワークのスペースを明確に切り分けること、完全にクローズのスペースではなくフューチャーセンターにおいて導入されている、オープンとセミクローズの空間デザインの考え方と創造性との関連を確認することができた。
また、報告後はフロアからの質問も活発に提示された。
当日、講演と会場を提供頂いた、富士ゼロックス株式会社 仙石太郎氏、蓮池公威氏にこの場をお借りしてお礼申し上げます。
(報告書作成:近畿大学 廣田 章光)