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研究報告会レポート

第12回ユーザー・イノベーション研究報告会レポート「ユーザー参加型クリエイティブ:カンヌライオンズの受賞作品にみる新潮流」

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第12回ユーザー・イノベーション研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:ユーザー参加型クリエイティブ:カンヌライオンズの受賞作品にみる新潮流
報告者:佐藤 達郎(多摩美術大学 美術学部 教授) 
    水越 康介(東京都立大学 経済経営学部 教授)
    西川 英彦(法政大学 経営学部 教授)
司 会:廣田 章光(近畿大学 経営学部 教授)
 
日 時:2021年10月5日(火)19:30-21:00
場 所: Zoomを用いたオンライン開催

 
【研究報告】
 ユーザーの参加は、製品やサービスのイノベーションをもたらすだけでなく、広告のクリエイティブ(創造性)も増幅させる。
 過去の広告のように、企業が創作し、発信した段階で、クリエイティブが評価されるのではなく、近年は、発信された広告が、オンライン上でのユーザーによる拡散・拡大、そして、ユーザーの参加によりクリエィティブが増幅されたものが評価される。こうした広告クリエイティブの新潮流を、「ユーザー参加型クリエイティブ」と呼ぶ。
 

 
 実際に、広告クリエイティブ賞の最高峰であるカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(以下、カンヌライオンズ)の受賞作品において、こうした変化がみられる。本報告は、カンヌライオンズの受賞作をもとに、こうした広告クリエイティブの変化を確認するものである。
 まず、従来のカンヌライオンズにおいては、企業の専門家が創作する広告のクリエイティブが評価の対象であったことが、代表的な受賞作をもとに説明された。次に、ソーシャルメディアの進展と呼応するように、企業による広告クリエイティブを、ソーシャルメディアを通して、ユーザーが拡散・拡大した成果が評価の対象となっていることが、代表的な受賞作をもとに説明された。
 さらに、近年では、企業による広告クリエイティブを、ユーザーが拡散・拡大し、参加することによりクリエイティブが増幅された、ユーザー参加型クリエイティブが評価の対象となっていることが、代表的な受賞作をもとに説明された。
 たとえば、2016年にカンヌライオンズのグランプリを受賞した「McWhopper」は、バーガーキングがマクドナルドに対して国際平和デーに、「ハンバーガー戦争を休止し、ビッグマックとワッパーを合わせた“マック・ワッパー”を2社共同で販売しないか」と呼びかけた事例だが、評価されたのは、これに反応した多くのユーザーが「自家製マック・ワッパー」を勝手に作製、次々にソーシャルメディアに投稿を始めたことであった。
 また、2017年に金賞を受賞した「Cheetos Museum」では、製法の関係で一つとして同じ形がないというチーズ味コーンスナック「チートス」について、リンカーンに似ているチートスや、タツノオトシゴに似ているチートスなどを人々が自由に投稿できるチートス・ミュージアムをオンライン上に開設したことが評価された。これらは作り手の制作物自体がクリエイティブであったというよりは、それに反応し参加した人々の発想こそがクリエイティブだったのである。
 なお、カンヌライオンズの受賞作は、毎年、銅賞以上で約1,000点(応募数の約3%)あり、全ての受賞作が、ユーザー参加型クリエイティブになったというわけではない。
 報告後は、司会による進行のもとに、パネル討議を行い、学会員の皆さんとの質疑をおこない、ユーザー参加型クリエイティブについて、理解を深めた。
 

写真:左上より、時計回りに、佐藤氏、西川氏、水越氏、廣田氏
 
(文責:西川 英彦)

 
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