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研究報告会レポート

第11回プレイス・ブランディング研究報告会レポート「関係人口の今 ― 三好市と佐渡の事例から ―」

#いまマーケティングができること

第11回プレイス・ブランディング研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:関係人口の今 ― 三好市と佐渡の事例から ―
講演者:横山 喜一郎(一社 三好みらい創造推進協議会 エグゼクティブディレクター)
    熊野 礼美(合同会社palette 佐渡UIターンサポートセンター)
ファシリテーター:山崎 義広(駿河台大学 講師)
日 程:2021年11月25日(木)19:00-20:30
場 所:Zoomによるオンライン開催

 

【報告会レポート】
 ゲスト講演者の一人目である横山さんの活動場所は四国の真ん中に位置する徳島県三好市です。同市にはたばこで栄えた池田、世界が注目する秘境祖谷、アウトドアレジャーが盛んな吉野川といった多彩なブランド資産がありますが、やはり人口減少が進んでいます。
 横山さんは、野村総研(NRI)時代に、国の「地方創生人材支援制度」によって三好市に派遣されました。その間、政策監(地方創生担当)として三好市の地方創生に取り組み、派遣期間終了後も同市に残って市職員として活動を続け、定年退職後は合同会社マチアスデザインを立ち上げて、町の課題を行政から横(民間)に繋ぐ活動をされています。
 2015年の政策監時代に移住関係の一連のプロジェクトとして、空き家を再生活用した「お試し住宅」事業を立ち上げます。2018年より関係人口創出事業をさせ、地域交流拠点「真鍋屋」「箸蔵とことん」の立ち上げに関わります。また、コロナ禍前まで古巣であるNRIのサテライトオフィス事業も展開するなど、様々なプロジェクトを行なってきました。
 

 
 三好市は観光の町ですので、当初は交流人口からリピーターになり、その一部が関係人口となり、定住人口につながると考えていたそうです。しかし、様々な移住政策に取り組む中で、こうしたルートではない形が見えてきたそうです。三好に関心を持ってくれる人が関係人口になり、定住人口になるのではないか。その際、関係人口のままの人もいるが、それもよいのではないか。なぜなら、関係人口が触媒になって、地域の魅力度がアップし、それに気づいたUターンが帰ってきたり、人口流出そのものを抑えることにつながるのではないかと考えているそうです。関係人口の新しい視点が見えてくるお話でした。
 最後に、コロナ禍の現在の取り組みと考えについて話してくださいました。リモートワークが一般化し、働く場所の縛りが弱くなった現在は地方にとっての追い風だと感じているそうです。横山さんは企業研修やワーケーション施設などの展開に取り組んでいますが、こうした活動を関係人口のきっかけづくりと捉え、都会ではなかなかポジションや力が実感できない人が地方で必要とされる実感を持つような魅力的なプロジェクトや活躍できる場づくりを行なっていきたいそうです。
 

 
 次は佐渡UIターンサポートセンターを運営する合同会社paletteの熊野さんの話に移ります。佐渡市は東京23区の1.4倍、東京から3.5時間、人口52,000人ながら年間1,000人のペースで人口減少が進んでいるそうです。その結果、2030年には老齢人口が46.2%に達し、生産年齢人口が44.4%になると試算されている島でもあります。
 熊野さんは兵庫県姫路市の出身で、趣味の山登りで佐渡を訪れたことがきっかけで佐渡に興味を持つようになり、地域おこし協力隊として移住支援に携わってきました。その後、UIサポートセンターを作り、同市の移住支援の中核となります。移住相談は3年から5年後というものが多く、異動の多い自治体職員では対応できない部分が多く、熊野さんのような長期的な対応ができる人材が必要とされています。移住支援は一般的に仕事、居住などの住むまでサポートで終わることが多いのですが、熊野さんはアフターフォローに重点を置いた活動を行い、交流会などを開催して、移住後の関わりを大切にしています。コロナ禍によって、若い世代の移住相談が増えているそうで、佐渡にバックオフィスを作る企業も出てきました。その結果、2020年に504名のUIターンがあったそうで、今年度もそれ以上の移住者数が見込まれているそうです。
 

 
 関係人口との関わりでは、虫崎集落の事例を紹介してくれました。人口17人という佐渡市の虫崎は、2017年からクラウドファンディングによって虫崎100人盆踊りを成功させ、その後も継続しています。コロナ禍により2020年、2021年は中止を余儀なくされましたが、バーチャルイベントにチャレンジするなど、新しい動きも出ているそうです。こうした中で、虫崎集落には新たに民泊施設ができたり、飲食店ができたりと、少しずつ良い方向にかわられているそうです。
 

 
 その後、横山さんと熊野さんがそれぞれの取り組みに対する質問を投げかけ、フロアとのディスカッションに入りました。それぞれの活動における課題のほか、施設の稼働率から市の独自制度やビジョン、有人国境離島法まで幅広い質問が出され、ディスカッションも大いに盛り上がりました。それぞれの地に移住され、活動するお二人の地域との関わりを含めて、プレイス・ブランディングの重要なアクターとなっていくであろう関係人口に関する新たな示唆を得られる研究会となりました。
 
<プレイス・ブランディング研究会Facebookページ>
https://www.facebook.com/placebranding2019/
 

 
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