リサーチプロジェクト
研究報告会レポート

第17回ソロモン流消費者行動分析研究報告会レポート「Z世代の消費行動」

#いまマーケティングができること

第17回ソロモン流消費者行動分析研究報告会(リアル・オンライン併用開催) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:Z世代の消費行動
報告者:原田 曜平 氏(芝浦工業大学 教授)
司 会:水越 康介 氏(東京都立大学 経済経営学部 教授)
日 程:2022年12月2日(金)19:00-20:30
場 所:芝浦工業大学 交流棟 501教室およびZoom使用によるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 Z世代と呼ばれる人々の行動にさまざまな形で注目が集まっています。マーケティングという観点からは、彼らの新しい消費行動が注目されます。今後ますます市場の主役となっていくであろう彼らの行動を理解し、寄り添っていくことは、ビジネスの現場における重要な課題です。そこで本報告会では、Z世代をはじめ若者文化研究の第一人者である原田曜平氏をお迎えし、ご報告とディスカッションを行いました。
 
報告概要
 Z世代は、スマホとともに生きるデジタル世代です。ソーシャルメディアの利用もInstagramをはじめ、コロナ禍でTikTokを当たり前のように使うようになっています。ゆとり世代に比べると、同じように携帯電話を使う世代でありながらも、不景気の中で生きてきたわけではなく、むしろ人手不足となった新たな時代を生きてきました。同調志向よりも、情報の発信を当たり前とし、Chill(ゆっくりしながらマイペース、自分らしく生きられるという感覚)、Me(発信意欲や承認欲求が強い)と特徴を示すことができます。
 消費の文化の一つの象徴はシーシャ(水タバコ)です。大都市はもちろん、地方においてもまったりとタバコを吸いながらコミュニケーションを楽しみます。節約思考はかつての世代とかわりませんが、メルカリなどを利用して売ることもできるため、必ずしも強いわけではありません。マッチングアプリの利用も当たり前となり、性の多様化も進んでいます。興味深いことに、必ずしもSDGsに対して強い意識があるというわけではありません。逆にLGBTQへの意識は強くみられます。
 Z世代の中には、さらに大きく7つのタイプをみることができます。一つ目は、無気力、無感度、無購買男子です。SNSの利用頻度も低く、広告頻度全体が低い傾向がみられます。消費行動もあまり行わず、人数的にも多くのボリュームを占めます。二つ目は、同じようにボリュームも大きいミーハーインスタ女子です。女性の方が多く、ポジティブで安定志向です。Insta、TikTokを使い、情報を収集しながら自身でも情報を発信します。三つ目は、意識高い多趣味男子です。数は減りますが、さまざまなSNSを駆使して情報を集め、最先端にこだわる野心家です。四つ目は、ズボラな発信系男子です。発信はするけれどあまり他人の目を気にしないタイプです。意外に消費も行い、価格もあまり気にしません。五つ目はそれなりの規模があり、推し活節約女子といえます。今や誰もが推し活を行っているといえますが、自分にできる範囲で楽しむ傾向がみられます。消費は趣味にかぎっており、堅実派といえます。六つ目は、安さ・節約重視の個人主義です。やはり安定志向が強く、SNSは閲覧が中心です。テレビをみていて、ゲームやアニメを好む傾向がみられます。家に引きこもりがちで、無課金で娯楽を楽しもうとします。それから七つ目は自分を持った真面目男子です。真面目、前向きな傾向がみられます。欲しいものは自分達で検索して選び出し、見栄よりもコスパを重視します。
 2022年の間にもさまざまなトレンドを見ることができました。差別化、友情築き直し、従来のインサイトの進化系をみることができます。コロナ禍を経て、改めて他の人々との違いを見出すことや、人間関係が重視されるようになっています。
 例えばコスメでみた場合、コスメDIYなど、使わなくなったコスメをうまく使うことが流行ったり、アレンジコスメとして、新しいコスメなどを作ることもあります。コスメを持ち運ぶ道具を自ら作るようなデパコス持ち運びも行います。フード触感コスメなども人気です。男性もコスメに興味を持っていますが、企業側のマーケティングとしてはサステナメンズスキンケアが増えています。扉映えや無人映え、田舎映えのような流行もみられました。仲間同士でゆっくり写真を撮れたり、SNSに投稿しあえるということが重要だといえます。
 

 
Join us

会員情報変更や、領収書発行などが可能。

若手応援割
U24会費無料 &
U29会費半額
member