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研究報告会レポート

第7回アート・イン・ビジネス研究報告会レポート「企業の芸術支援による消費者への影響」

#いまマーケティングができること

第7回アート・イン・ビジネス研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:企業の芸術支援による消費者への影響
報告者:薗部 靖史 氏(東洋大学 社会学部 教授)
    川北 眞紀子 氏(南山大学 経営学部 教授)
司会・ファシリテーター:大西 浩志(中央大学ビジネススクール)
日 程:2023年1月17日(火)18:30-20:00
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 第7回アート・イン・ビジネス研究報告会をオンラインで開催し、30名超にご参加いただきました。本研究会は、これまでアート・マネジメントやアート・マーケティングといった領域で蓄積されてきた知見と実際のビジネスとの懸け橋となる研究を目的としております。今回の報告会では、芸術文化組織や企業による芸術支援について研究を行っている東洋大学薗部教授と南山大学川北教授に、企業の芸術支援によって消費に与える心理的影響について最新のご研究成果をご紹介いただき、参加者によるディスカッションを行いました。
 
薗部教授・川北教授による報告の様子 薗部教授・川北教授による報告の様子
薗部教授・川北教授による報告の様子
 
 研究会の第一部では、薗部教授・川北教授より「企業の芸術支援によるプレステージの相互波及効果」というテーマで研究成果報告をしていただきました。企業による芸術支援(スポンサーシップ)によって、企業と芸術組織それぞれの知覚プレステージが、両者への態度に対して相互に影響するというフレームワークを、実際に調査データを共分散構造分析で解析した結果をご報告いただきました。また、対象者を文化資本の高低でグループ分けし、高文化資本グループは芸術イベントからスポンサーシップへの知覚プレステージの影響が大きくなる一方で、低文化資本グループはスポンサーシップへの好意的態度が芸術イベントへの態度に強く影響することが明らかになったことをご紹介いただきました。芸術支援活動は、企業にとっての効果だけではなく、芸術組織にとっても好意的態度形成に効果があることは新しい発見だと感じました。
 また、薗部教授・川北教授の近著『アートプレイスとパブリック・リレーションズ:芸術支援から何を得るのか』の内容もご紹介いただきました。芸術支援活動のタイプを、企業と鑑賞者の相互作用の高低と、アートプレイス(相互作用の場)の所有形態(ペイド、オウンド)で4象限に分類し、企業へのヒアリングを基に、企業内外への効果をそれぞれのケースについて議論された書籍の内容もご紹介いただきました。
 第二部の参加者とのディスカッションにおいては、企業と芸術イベントそれぞれへの関与の高低を考慮する修正フレームワークについて、それらの効果検証が企業と芸術組織の両方にとって有意義な研究となる可能性が示唆されました。また、芸術支援を一過性で終わらせず継続的に実施する課題について、実施主体を財団化するなど組織的な独立性を確保することや担当者の芸術知識や意欲に加えて、組織文化の重要性についても議論が交わされました。
 今回は、マーケティング学会会員の興味関心が高い企業の芸術支援活動というテーマで、多くの方々にご参加いただきました。実際にビジネスに関わっていらっしゃる学会員の方々にとっても芸術支援活動とその効果を考えるためのよい機会になったと思います。
 
 参加者の皆様ありがとうございました。
 
(報告書作成:プロジェクトリーダー 大西 浩志)

 
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