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研究報告会レポート

第6回地域創生マーケティング研究報告会レポート「竹循環型社会を目指すSDGs」

#いまマーケティングができること

第6回地域創生マーケティング研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:竹循環型社会を目指すSDGs
日 程:2023年1月20日(金)14:00-15:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
1. 解題:「地域創生ビジネスとSDGs」陶山 計介 氏

 地域創生の課題は、①地域の精神的・経済的な自立、②自然、環境、地域と共生する持続可能性、③地域主権や自治を支える公・共・私の3セクターの協力、④地域間連携、に集約されます。このうちSDGsやサステナブルな地域創生マーケティングのためには、自立と共生にもとづくソーシャルなイノベーションが鍵であり、また「内から」、「下から」の「内発的開発」、「内発的発展」を重視しながら、地域固有の経営資源を「知る」「磨く」「語る」プロセスが必要になります。このような点を踏まえて、地域創生ビジネスの新たな方向性を提示して頂きました。
 
2. 講演:「地域社会を活かした家具づくり SDGs」中山 正明 氏
 岡山県倉敷市真備町で“厄介者”と言われてきた竹を町の宝に変える株式会社テオリのSDGsビジネスを紹介して頂きました。テオリは、地域の特産-美味しい筍を栽培するために毎年古い竹(5年~6年)を間伐し、廃棄物となっていた竹を集成材として板を作り竹の特徴を活かしたオンリーワン家具を生産しています。
 その新しいビジネスモデルは、竹の活用の仕方にあります。竹の一番良い所は集成材にして家具、少し細い所は表面を削って竹抗菌オイル(特許第5028336号)、また『つる肌潤い風呂』竹入浴剤というかたちでそれぞれ商品化して販売するという、竹の素材の良さを生かした商品づくりです。さらに竹の先の枝葉はチップにして、すり潰して土壌改良材として商品化して家庭菜園用に販売しています。このように一本の竹を伐採したら余すことなく使い、最終的には土に還る循環型社会を目指しています。
 竹を間伐する人が高齢化して竹林が荒れている所が多くなっていますが、竹を一本100円で買い取ることによりボランティアの方の収入にもなり、地域の中で経済循環も行っています。荒れた竹林が整備され、テオリにも地元の竹が多く集まるその循環は、社会課題を解決する一方で地域のニーズにも応えるまさに三方良しの仕組みです。持続可能な商品開発と提供を通じた竹循環型社会を目指す株式会社テオリのこの取組は、きわめて優れたSDGsビジネスとなっています。
 
【研究会を終えて】
 今回は、佐賀大学芸術地域デザイン学部、甲南大学ビジネス・イノベーション研究所、一般社団法人ブランド戦略経営研究所の3組織の共催にて、日本マーケティング学会の会員の皆様と学会員以外の方のご参加のもと開催され、盛況な会となりました。
 2018年の西日本豪雨災害から復興が進められている岡山県倉敷市真備町において、地域資源を再発見し、地域で“厄介者”と言われてきた竹を有効活用していくSDGsの優れた取組事例であったと思います。
 その後フロアからSDGsや竹という素材に注目するにいたった着眼点やその商品開発プロセスに対する質疑応答がなされて活発な議論が行われました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
 

 
(文責:山口 夕妃子)

 
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