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研究報告会レポート

第12回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会レポート「CES 2023 ― テック・トレンドは企業やブランディングをどう変えていくのか?」

#いまマーケティングができること

第12回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:CES 2023 ― テック・トレンドは企業やブランディングをどう変えていくのか?
日 程:2023年3月4日(土)19:00-21:00
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
アウトライン
 本研究会では、2023年3月4日(土)19:00〜21:00にオンライン形式で今後の企業ブランディングのあり方をテーマにした基調報告とディスカッションを実施した。
 
 当日はまず本研究会での恒例企画、2012年からCESを訪問し、10年余り定点観測を続けてきた本研究会の運営メンバー朝岡崇史氏(株式会社ディライトデザイン 代表取締役、法政大学 大学院 経営学研究科 客員教授)からの「『人間の安全保障』が一大テーマに。CES 2023が示唆する企業ブランディングの未来」と題する基調報告を行い、その後、森一彦氏(京都先端科学大学 国際学術研究院 教授)のファシリテーションにより最先端のデジタル・テクノロジーによってどのような形でビジネス変化が起き始めているかを中心に参加者と議論を行なった。
 
基調報告の内容とディスカションの詳細
 CESは毎年年初にアメリカ・ラスベガスで開かれ、DXの進展とともにかつての家電見本市から世界最大級の民生技術による最先端テクノロジー・イベントへと劇的な進化を遂げている。朝岡報告ではCES2023での新たなテクノロジーやそれに伴うイノベーティブな製品やプロジェクトの報告というよりも、最先端テクノロジーを戦略的に採用した企業の事業運営のあり方やサステナビリティ活動などに深く踏み込んだ内容で、企業の今後のブランディングのあり方についての提言を含んだ報告であった。
 今年のCESの特徴をWAASとのパートナーシップの提携として捉え、テーマとしての「ヒューマンセキュリティ」についてCTOのプレジデント&CEOのゲイリー・シャビロのスピーチから「このテーマはテクノロジーが世界をより良くするために何ができるかに焦点を当てています。テクノロジーを使って物事を楽しく便利にするだけではなく、食料や水の安全、気候変動、エネルギーさらには医療人種ダイバーシティーに至るまで地球規模の安全に対処をすることです」というメッセージを紹介し、さらには具体的な企業事例として
・ジョンディア=大規模農業における自動運転トラクターに搭載された2つの先進技術
・BMW=The Ultimate Companion(究極の相棒としてのクルマ)としてDeeの紹介、アーノルドシュワツネッガーを起用したショートムービー。
・ボッシュ=自社が得意とするセンサー技術、ソフトウェア技術「ボッシュアイオーティークラウドを生かして様々な分野にまたがるネットワークソリューションの推進。
・キヤノン=1988年制定の企業理念共生に基づき「イメージングとイノベーション」のエキスパートであることから「Limitless is more」コロナ禍で直面するで直面する様々なリミットを取り除く最先端DX映像ソリューションの打ち出し
・パナソニック=気候変動対策をトッププライオリティとする「GREEN IMPACT PLAN2024」の実現へのコミットメントなどの取り組みが紹介された。
 
 続くディスカッションのパートでは・・・マイケルポーターとジェームス・ヘルプマンの「Smart and Connected product」からAI、IoTなどにより「モノの本質」が変化し、製品からシステムの複合体に移行する展開を紹介し、従来の企業と顧客の2者間だけではなく、
企業と顧客とソフトウエアでの3者間での起きる経営やマーケティングの変化についてポジティブな論議が交わされ、参加者からはメタバースでファッション界の動きとして、NFTなどによる新しい交換のあり方などが報告された。
 
集合写真
 
今後の研究の方向性
 本研究会では、この報告からのインプリケーションとして、企業ブランディングでの位相の変化を問題意識として捉えて行きたいと考えている。すなわち企業ブランディングの役割が企業―消費者に2者間でのモノを介しての売買に伴う「認知系システム(消費者の認知・記憶・再生への働きかけ)」という基軸から拡張し、企業―顧客―社会という広いステークホルダー関係を前提にした複雑なエコシステムでの価値創出や価値提供への行動や共創が作り出される「活動系システム」として上塗りされていくという変化である。同時に「活動系システム」としての企業ブランディングではデジタルメディアに媒介されたインタラクションから新たな価値が生み出されるという点についても認識を深めていきたいと考えている。
 
(文責:朝岡 崇史、森 一彦)

 
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