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研究報告会レポート

第12回フードビジネス・イノベーション研究報告会レポート「(緊急企画)マーケティング視点で「フードサプライチェーンの価格転嫁と値上げ」を考える」

#いまマーケティングができること

第12回フードビジネス・イノベーション研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:(緊急企画)マーケティング視点で「フードサプライチェーンの価格転嫁と値上げ」を考える
講 演:「課題提起 農産物の価格転嫁の現状」
     折笠 俊輔(公益財団法人流通経済研究所 農業・環境・地域部門 部門長)
     ※その後、フロアを交えたディスカッション
     ファシリテーター:小林 哲(大阪公立大学 経営学研究科 教授)
日 程:2023年3月22日(水)18:30-20:00
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【研究報告会レポート】
 第12回研究報告会は、フードビジネス・イノベーション研究会の企画運営委員であり、(公財)流通経済研究所、農業・環境・地域部門部門長の折笠俊輔氏に話題提供をお願いし、農産物の価格転嫁の現状とその可能性について議論しました。
 
折笠氏講演画面
 
 研究報告会では、折笠氏より、まず農業の生産コストが上昇している状況について説明がありました。ロシアのウクライナ侵攻に伴う小麦粉等の原材料の高騰、円安の加速による輸入価格の高騰、そして、アフターコロナの需給バランスの変化に伴うインフレ等による世界的な価格上昇に伴い、現在の農業において、適性価格の維持すなわちコスト上昇の価格への転嫁が最も重要な課題となっています。しかし、農産物は、ライフラインの一角を占める生活必需品であり、消費者のみならず流通業者、メディア等も値上げには敏感です。そのため、コスト増を価格に転嫁できず経営を圧迫しているという説明がありました。
 
折笠氏講演画面
 
 折笠氏は、このような状況下で値上げするには、コスト増を理由とする単純な価格転嫁が難しく、値上げ(価格転嫁)を行うには何らかの方法で付加価値を高める必要があると主張します。その方法のひとつとして有機農産物に注目します。有機農産物は、持続可能な農業として世界的に生産量を増やしており、日本ではまだそれほど普及していませんが、今後成長が見込める領域です。また、商品選別による品質向上や、“採りたて”などの時間を意識したダイナミック・プライシング、“限定”などの消費者心理を活用した価格の引き上げなど、農産物の値上げにマーケティング手法が活用できることを指摘しました。
 その後、コスト増の価格転嫁ができない原因や、日本における有機農法の可能性、農産物に対するマーケティング・ノウハウの活用方法に関して、生産者や流通業者からの発言もあり、参加者も交えて活発な議論がなされました。
 
参加者集合写真
 
【研究報告会を終えて】
 今回は、緊急企画ということで、告知期間が短い中、多くの方に参加いただきありがとうございました。改めて、この問題に対する関心の高さとマーケティングの知を農業に活かす必要性を実感しました。講演いただいた折笠氏に感謝いたします。
 なお、フードビジネス・イノベーション研究会では、一緒に研究会を盛り上げてくれる仲間を募集しております。研究会に関心のある方は、小林()まで気軽にご連絡ください。お待ちしております。

 
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