フードビジネス・イノベーション研究会 |
【研究目的】
近年、フードビジネスは、高齢化や個食化といった食を取り巻く需要環境が大きく変化しており、農水畜産業(第一次産業)、食品製造業(第二次産業)、フードサービス業(第三次産業)を問わず、従来の枠組みに囚われない革新的な対応が求められている。そこで、本プロジェクトでは、食に関わる営利組織の活動をフードビジネスとみなし、フードビジネスが直面している(もしくは今後直面するであろう)課題に対する理解を深め、それを解決するための方法を実践および理論の両面から追求することで、フードビジネス・イノベーションに対する知を開拓し蓄積することを目的としている。
なお、フードビジネスが直面している課題は多岐にわたり、解決するには複数主体が協力して取り組まなければならないことも多い。そこで、本プロジェクトでは、食に関わる産業をフードビジネスというひとつのセクターとして捉え、解決すべき課題を産業横断的かつ統合的に議論することを目指す。現時点で想定している研究テーマは以下の通り(研究の過程で追加の可能性あり)。
- フードビジネスを取り巻く環境変化に関する研究
(高齢化や個食化、ITCやロボット技術などの技術革新、日本食のユネスコ無形遺産登録など食文化のグルーバル化、SDGs(持続可能な開発目標)や菜食主義者の台頭等がフードビジネスに及ぼす影響など) - フードビジネスにおける課題を解決するための新たな方法に関する研究
(スマート農業や高齢化や個食化に対応した製品開発、科学的分析に基づく伝統的な製造・調理方法の革新、ITCを活用した食の新たな提供方法など) - フードビジネス・バリューチェーンの研究
(温度帯別流通や農商工連携、災害時の食事支援体制等の新たなフードビジネス・ネットワークの構築など新たなフードシステム・ネットワークの構築) - フードビジネス・エコシステムの研究
(SDGsへの対応、食品廃棄問題の解消、循環型流通の確立など)
【研究方法および研究計画】
研究方法および研究計画は以下の通り。
- フードビジネス・イノベーション領域の設定
フードビジネス・イノベーションが対象とする主な領域およびそこへの接近方法に関して議論する。 - フードビジネスを取り巻く課題の共有
上述した領域における文献研究・事例研究・統計分析等を報告し合うことで、参加者の現状認識を深め情報の共有化を図る。 - フードビジネス・イノベーション理論の構築
上述した課題に関する議論を通して、フードビジネス・イノベーションの方法やそれを分析するための概念および理論を構築し、その体系化を図る。 - 研究成果の公表
カンファレンスでの報告、ワーキングペーパーおよびジャーナルへの投稿、書籍化などを通して、本プロジェクトの研究成果を公表する。 - アクション・リサーチの実践
研究成果の報告に止まらす、本プロジェクトで得た示唆を実践の中で検証し、研究成果の実務への適用およびその研究へのフィードバックを試みる。
【研究期間】
2015年4月〜2025年3月
【リーダー】
小林 哲 大阪公立大学 経営学研究科 教授
【企画運営メンバー】
伊藤 匡美 亜細亜大学 経営学部 教授
上田 隆穂 学習院大学 経済学部 教授
折笠 俊輔 公益財団法人流通経済研究所 主任研究員
久保 健治 株式会社ヒストリーデザイン 代表
小宮 信彦 株式会社電通 シニア・イノベーション・ディレクター
尾藤 環 辻調理師専門学校 企画部部長
【研究報告会の案内】
【研究報告会レポート】
第13回 2024年3月9日(春の三都市リサプロ祭り:大阪会場)
>「季節学と食と農との古くて新しい関係」
亀岡孝治氏(三重大学 名誉教授 / 信州大学社会基盤研究所 特任教授)・尾藤環氏(辻調理師専門学校 企画部 部長)
第12回 2023年3月22日(オンライン)
> 「(緊急企画)マーケティング視点で「フードサプライチェーンの価格転嫁と値上げ」を考える」
折笠俊輔氏(公益財団法人流通経済研究所 農業・環境・地域部門 部門長)
第11回 2022年3月19日(春のリサプロ祭り・オンライン)
> 「ソーシャル・フードデザインの世紀へ」
渡邉賢⼀氏(株式会社XPJP 代表取締役・価値デザイナー / 内閣府クールジャパン官民連携プラットフォーム ディレクター)
第10回 2020年6月16日(オンライン)
> (緊急企画)マーケティング視点で「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を考える
尾藤環氏(辻調理師専門学校 企画部部長・産学連携教育促進室室長)・久保健治氏((株)ヒストリーデザイン 代表・Data Strategy(株) 研究員)
第9回 2019年8月31日
> 「フードロスとフード・ロジスティクス」小針美和氏(農林中金総合研究所)・折笠俊輔氏(流通経済研究所)
第8回 2019年3月28日
> 「外国人就労者のキャリア発展支援-外食産業の国際化を担う人材育成を考える-」
第7回 2018年8月25日
> 「宗教 ✕ マーケティング」阿良田麻里子氏(立命館大学 食マネジメント学部 教授)
第6回 2018年6月1日
> 「IoFが世界を変える」亀岡孝治氏(三重大学大学院 生物資源学研究科 教授、一般社団法人ALFAE 代表理事)
第5回 2017年6月27日
> 『「秘められた和食史」が語る和食問題』カタジーナ・チフィエルトカ氏(ライデン大学 教授)
第4回 2017年3月18日(春のリサプロ祭り)
> 「地域産品ブランドと地理的表示(GI: Geographical Indication)」小林哲氏(大阪市立大学経営学研究科 准教授)・折笠俊輔氏(公益財団法人流通経済研究所 主任研究員)
第3回 2015年9月25日
> 「ビジネスとしての農業」上原征彦氏(昭和女子大学現代ビジネス研究所 特命教授)、「日本農業の経営課題」齋藤訓之氏(「Food Watch Japan」編集長)
第2回 2015年7月31日
>「ぐるなびの食を通した地域活性化支援」宇田川洋平氏(株式会社ぐるなび 大阪営業所 所長)
第1回 2015年6月5日
>「6次産業化の現状と課題~問題提起~」折笠俊輔氏(公益財団法人流通経済研究所 主任研究員)