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研究報告会レポート

第9回アート・イン・ビジネス研究報告会レポート「NFTアートの現状と今後」

第9回アート・イン・ビジネス研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:NFTアートの現状と今後
日 程:2023年7月27日(木)18:00-19:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 第9回アート・イン・ビジネス研究報告会をオンラインで開催し、20名弱の方々にご参加いただきました。本研究会は、これまでアート・マネジメントやアート・マーケティングといった領域で蓄積されてきた知見と実際のビジネスとの懸け橋となる研究を目的としております。今回は、ブロックチェーン技術の研究者でありNFTアート作品も制作されている伊東氏より、NFTを使ったアートとアーティストにとって表現や作品制作における影響や作品展開のエコシステムへの貢献など、現時点および今後の展望などについてご紹介いただき、参加者によるディスカッションを行いました。
 
伊東氏による報告の様子
 
 伊東氏より、そもそもなぜNFTに関わるようになったのか、出発点がアーティストの村上隆氏との出会いだったとのお話がありました。NFTとその元になるブロックチェーンの技術について解説をいただいた後、NFTが可能にすることとして「データのオリジナルを明確にしつつ、自由にコピーできること」と「オリジナルの移転に集権的なサービスが不要であること」と説明がありました。また、NFTを使ったアートの新しい取引方法(オリジナルを保護しつつコピーを無料配布する#FREEHAWAIIPHOTOや美術館が著作権が切れたクリムトの作品をNFT販売する例)や、ご自身がアーティストとしてNFTの制度や社会的影響をコンセプチュアル・アートとして表現したいとのお話しを聞くことができました。NFTアートの市場は2021年にピークを迎えたものの、米国の規制強化によりEthereum/Bitcoin自体の価値が減少したことでバブルがはじけたということですが、むしろ投機目的の取引が無くなったことで市場としては健全化されたとの考察もありました。
 後半のディスカッションでは、NFTが実現する新しい所有の概念や法的な所有権の枠にとどまらない新しい所有の可能性について議論が交わされました。また、ブロックチェーン上で保有情報がどのように移転したかを記録したトークン・グラフを活用して、ソーシャル・グラフのようにインタラクションや中心性を分析する方法があり、マーケティング研究でも活用の可能性があることなどをご提案いただきました。
 
伊東氏による報告の様子
 
 今回の研究者でありアーティストでもある伊東氏からの報告が、実際にビジネスに関わっていらっしゃる学会員の方々にとってもアート表現とその可能性を考えるためのよい機会となれば幸いです。
 
 参加者の皆様ありがとうございました。
 
(報告書作成:プロジェクトリーダー 大西 浩志)

 
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