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研究報告会レポート

第6回マーケティング/PRテクノロジー研究報告会レポート「『話題にしてもらう技術』から考える、BtoBテクノロジースタートアップのPRの事例とディスカッション」

第6回マーケティング/PRテクノロジー研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:『話題にしてもらう技術』から考える、BtoBテクノロジースタートアップのPRの事例とディスカッション
日 程:2023年11月16日(木)19:00-20:15
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 今回の報告会は以下の2パートにて開催された。
第1部:報告 『話題にしてもらう技術』書籍概略及び架空のBtoBスタートアップのケースを中心とした紹介
第2部:広報実務者によるディスカッション
 
第1部:報告 『話題にしてもらう技術』書籍概略及び架空のBtoBスタートアップのケースを中心とした紹介
加藤 恭子 氏(ビーコミ 代表取締役)
 
 第1部では、昨年発売された『話題にしてもらう技術』の著者の加藤氏から、書籍でもまとめられている広報のテクニック(技術)についての紹介とBtoBのテクノロジースタートアップを例にした具体的事例の共有が行われた。
 冒頭で加藤氏から、PRはPublic Relationsの略語であるが、一般消費者のPRの認識は宣伝・プロモーション・広告というものが一般的であり、広報担当者との認識とのギャップが大きいことの説明があった。そして書籍に記載の「注目を集める情報の8つの法則」と「話題になるためのPR5つ道具」についての説明が行われた。
 続いて疲弊しないで話題になり続けるためにはどうすればいいかという話題において、広報活動を継続しておかなければすぐに忘れられてしまうため、1回だけではなく継続して広報活動する体制作りの重要さと、1人で抱え込まない体制の作り方について具体的事例を交えて説明が行われた。
 いくら優れている技術やサービスでも世の中にうまく伝えることができなければ消えてしまうという例は全国各地で発生していることであろう。一方で伝える重要性を理解しているものの、「ひとり広報」として組織内で苦しんでいるビジネスパーソンも多いのではないか。そういった人たちに本書は大いに参考になるであろう。
 

 

 
第2部:広報実務者によるディスカッション
川原 直子 氏(ホイサム代表)・壽 かおり 氏(シックス・アパート 広報)・加藤 恭子 氏(ビーコミ 代表取締役)・藤崎 実 氏(東京工科大学 准教授)
モデレーター:高梨 杏奈 氏(楯の川酒造株式会社 広報)
 
 第2部では、広報実務者によるディスカッションが行われ、ディスカッションの中心となったのは「ひとり広報」に関する話題であった。
 企業が比較的早い段階で広報担当者を置いた際、担当者が「ひとり広報」として社内に広報に対する知見がない中で担当者が悩むケースがあることから、どのようにマネジメントするべきかというテーマであった。ディスカッションの中では、社外の広報コミュニティと繋がりを持つことやPRエージェンシーに伴走を依頼する、PRプランナーの資格取得に向けた勉強をすることなど、様々な方法が議論された。
 また、「ひとり広報」となる人が直面することになることが多い、広報とマーケティングの連携についても議論となったが、日々登場する新しいツールを試してみることは重要ではあるが、すでにあるツールについて各機能を使い倒してみるという視点も必要であるという登壇者からの実例を交えた提言もあった。
 最後では本報告会の参加者からの質問に対して、登壇者が答える形となった。
 質問の一例を挙げると、「継続的な話題になるために適度な話題の山を作る必要性」「海外事業のPRのポイント」などがあったが、特に盛り上がったのが「メディアとの関係性の作り方」ついてだった。その回答の中で登壇者が共通するのは、B2B、B2Cともに狭く深いネットワークを5名程度構築することを目指し、彼らと濃くつながるのがおすすめであるという点であった。
 話題作りについてはつい大規模なものを打ち上げるようなイメージが一般的であるのではないかと思うが、少数の狭く深いネットワークをまずは作り、そこから継続的なコミュニケーションを行うことで、継続的に話題にしてもらうという方法は、これから広報担当をなる人にとっても具体的な行動イメージが湧くのではないか。
 
総括
 今回は加藤氏の著書をきっかけにPRの具体的手法を参加者で確認し、その後のディスカッションで経験豊富な広報実務者からの実例を聞くという構成のため、普段の業務でPR担当をしているわけではない参加者にとっても非常に理解しやすい内容であった。
 PRというと何か派手な花火を打ち上げるイメージが一般的には強いのではないかと思うが、改めて基本動作の重要性を感じた。加えて、ディスカッションの登壇者それぞれが社外とのネットワーク構築の重要性を述べており、当研究会でも今後そういったネットワークづくりのきっかけとなるような報告会を実施していく必要性を実感する今回の報告会であった。
 

今回の報告会の参加者との記念撮影
 
(文責:藤原 健太郎)

 
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