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研究報告会レポート

第23回プレイス・ブランディング研究報告会レポート「地域再生を考える」

第23回プレイス・ブランディング研究報告会(オンライン)  > 研究会の詳細はこちら
テーマ:地域再生を考える
講 演:豊島(瀬戸内)に観る、地域再生化視点のマーケティングとは
講演者:圓丸 哲麻 氏(大阪公立大学 経営学研究科 准教授)
    大崎 恒次 氏(専修大学 商学部 准教授)
ファシリテーター:山崎 義広 氏(駿河台大学 経済経営学部 准教授)
日 程:2023年11月16日(木)18:30-20:00
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 第23回プレイス・ブランディング研究会は大阪公立大学の圓丸哲麻先生と専修大学の大崎恒次先生をゲストに迎え、豊島(瀬戸内)の地域再生に関する研究報告がなされました。
 圓丸先生・大崎先生が取り組んで来られた豊島(瀬戸内)の研究背景や「住民起点の地域再生(化)」に関するインタビュー結果の紹介、地域価値が負の状態からはじまる地域再生に関する報告をもとに、満員となった参加者との議論が交わされました。
 

 
 現在は瀬戸内芸術祭の舞台として有名な豊島(香川県小豆郡土庄町)ですが、過去に産業廃棄物不法投棄事件という苦しい経験をしてきた背景があります。産廃事件による人口減少から地域再生に至る過程を住民へのインタビューを通して研究してきた圓丸先生の報告では、瀬戸内芸術祭に関わる芸術家や、経済界の有力者による豊島の魅力再発見を機に地域住民の誇りが回復していった経緯、島への来訪者が増えることでさらに住民の豊島に対するエンゲージメントが増していった分析が示されました。
 

 
 社会的・経済的基盤ダメージを受けた状態における地域のマーケティング活動は、地域の活力が促進された状態のそれと異なることを、圓丸先生・大崎先生が地域産品の看板に着目した分析が報告されました。「豊島みかん」として出荷されていたみかんが、産廃事件後の1990年以降、豊島の名前が外され「小豆島みかん」として売られ始め、瀬戸内芸術祭を以降の2010年に再び「豊島みかん」と名称を変更した経緯をもとに、地域の価値が大幅に減退した状態においては、地域事業者にとっては(地域活性化よりも)地域性をあえて表象しないマーケティングが選択されることが指摘されました。
 

 
 圓丸先生と大崎先生による住民へのフォーカス・グループ・インタビューなどを通じ、住民の年代や島への居住歴、職業、社会的立場などによって地域への意識やコミットメントが異なることを背景に、住民起点の地域再生に見られる複雑な住民の関係性・アクター間のコンフリクトに関する考察が紹介されました。参加者からの質問・ディスカッションにおいて、地域の関係者間のコンフリクトとプレイス・ブランディングの整理の難しさに関する課題提起のほか、“よそ者”からの刺激により住民意識が変化することに関する指摘がなされるなど、「住民起点の地域再生」についての様々な視点から活発な意見交換が行われました。
 

 
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