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研究報告会レポート

第25回地域活性化マーケティング研究報告会レポート「地域外企業による地域内発型の地域活性化 ― 新たな業種・形態で進展する取り組み」

第25回地域活性化マーケティング研究報告会(東京) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:地域外企業による地域内発型の地域活性化 ― 新たな業種・形態で進展する取り組み
報告者:宮副 謙司(青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 教授)
日 程:2023年12月25日(月)17:00-18:30
会 場:青山学院大学 青山キャンパス 17号館8階 大学院国際マネジメント研究科
「青山ビジネススクール(ABS)」17803教室
 
【報告会レポート】
ABS宮副教授 企業による地域活性化の取り組みの中でも、地域外から進出した企業によるものが注目されています。企業として人材・資金や企画・運営ノウハウなどの経営資源を着実に持ち、外部ネットワークやチャネルの形成力の強みを地域活性化につなげていけるからです(宮副,2019など)。
 今回の研究報告は、地域外企業が取り組む地域活性化の内容が、従来多く見られた製造業の工場進出などによる雇用の創出や、芸術やスポーツ振興への寄附などの特別な貢献でもなく、地域発企業/地場企業が行うと同じように、地域における「内発的活性化」の取組みが増えてきている点に着目した事例研究に関する内容でした。
 第一に、愛媛県西条市を研究対象とした花王・クラレ・アサヒビールの地域対応の事例、第二に、徳島県神山町でのICT系企業のサテライトオフィス進出を機として、そこに移住した社員たちが、地元住民と接し地域課題を認識したことで始まった地域のための新規事業の創造(複数の事例)、第三にアクセンチュア・デロイトコンサルティング・KPMGコンサルティングなど経営コンサルティングファームの地方都市進出を機とする新規事業創造が報告されました。第四に、東京の食関係企業が地域に関わる事例-地域ブランド開発(長野県辰野町)、保育園留学(北海道厚沢部町)の事例で、その好調・不調の要因が考察され、3つの要素-①地域資源を的確に着眼・編集した本質的な地域価値の創造、②地域メンバーの自発的・主体的な意欲と実践、③東京など都市部との地域との関係から生まれる創造性が明らかにされました。
 
【報告会を終えて】
 企業事例から明らかにされた地域外企業の地域内発型地域活性化の3要素は、アカデミックでも長年議論されてきた「内発的発展」の論理と共通するということが、参加メンバーとの議論を通じて確認されました。内発型活性化の要諦が明らかになったことで、西条での企業が長年にわたって地域と関係のある場合での企業が地域住民の地域活性化意識の醸成や、企業の事業撤退の場合のコミュニティ活動の継承などの課題を解決する動きが改めて認識できました。また神山での企業進出で移住した社員の地域への思いの深さから生まれた新規事業開発なども的確に説明でき、報告者の立場としても研究の収穫をさらに高めることができました。参加者の方々に厚く御礼を申し上げます。
 
(文責:宮副 謙司)

 
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