第1回マーケティング教育研究報告会レポート「マーケティング人材の育て方、育ち方」 |
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テーマ:マーケティング人材の育て方、育ち方
報告者:槇 亮次 氏(株式会社Mizkan マーケティング本部 本部⻑)
司会・コーディネーター:坂田 隆文(中京大学 総合政策学部 教授)
日 程:2024年1月15日(月)18:30-20:00
場 所:中部生産性本部セミナールーム
共 催:中部マーケティング協会
【ゲストプロフィール】
槙 亮次(まき りょうじ)氏
京都府⽴⼤学農学部卒。
1999年ネスレマッキントッシュ(株)⼊社。ネスレコンフェクショナリー(株)マーケティング部ブランドマネージャー、ネスレオーストラリアLtd.、ソシエテ・デ・プロデュイ ネスレS.A.、ネスレ日本(株)執⾏役員コンフェクショナリー事業本部⻑、同新規ビジネス開発本部⻑などを経て、2023年3月より現職。
【報告会レポート】
本報告会は冒頭から「マーケティングに教育は必要か」、「マーケティングに求められるのは経験か教育か」という2つの問題設定について話すためには、そもそもマーケティングをいかにとらえるかが大切だという指摘が槇氏によって行われた。槇氏曰く、「マーケティング≒経営」ととらえる場合と、マーケティングを機能としてとらえる場合とがあるという。さらに槇氏は、自身のマーケティングを「小さな幸せを増やす課題解決」と定め、エンドユーザーやステークホルダー、自社の持続的三法良しを達成できるのがマーケティングだと解説した。
そのうえでマーケティング教育には教育機関で行われたりセミナーなどで行われたりする「形式的」なものと、OJTや1on1、メンターの存在など「非形式的」なものがあるというのが槇氏のとらえ方であった。実務においては業務の枠をはみ出るケースが多いため、自ら学ぶ姿勢が求められ、それは形式的な教育だけでは果たしきれないというのが槇氏の経験から解説された。では、その非形式的教育場面において必要なことは何か。槇氏は非形式的教育場面で自身が経験したことから、
・好奇心とロジックで考える癖
・ミスから学んだ経験
・任された責任
・社内外とのコラボレーション
・チューターの存在
という5つに対し、それぞれその必要性が説明された。
大学においても近年は座学だけでなくケースメソッドやPBL(課題解決型学習)といった多様な教育スタイルが存在し、実務家の目線から見てもマーケティング教育がかつてに比べて充実してきていると思えるという。ただし大学教育においては「教育と経験の連鎖」が果たしきれない場面も多いことが指摘された。
【報告会をおえて】
当日フロアからは
・大学の教育に求めるものは何か
・職務におけるマーケティングに向き不向きはあるか
・立場によって失敗できないことがあるが、ミスから学んだ経験を積めなくなったらどうすれば良いのか
といった質問が投げられ、30分の質問時間が全く足りないほどであった。質問時間が足りなくなるというのは、それだけ本研究会のテーマへの興味をもった実務家・研究者が多く存在することの証左であり、今後、継続的に報告会を続けていく必要があると切に感じた次第である。
(文責:坂田 隆文)