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研究報告会レポート

第7回地域創生マーケティング研究報告会レポート「地域創生とソーシャル・イノベーション」

第7回地域創生マーケティング研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:地域創生とソーシャル・イノベーション
日 程:2024年2月13日(火)19:00-20:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 地域課題や社会的課題に対してビジネスを通して解決していく取り組みとしてソーシャル・イノベーションが注目されている。この地域や社会的な「課題」解決はある意味、持続可能な発展のために2030年までに達成すべき目標SDGsの理念にも沿ったものである。SDGsの達成を目標に持続可能なまちづくりや地域活性化に向けた取り組みに大きな期待が込められている。
 
講演:「天然繊維産業の創出と循環型社会の実現に向けて」平良 香織 氏
 株式会社FOOD REBORNは、沖縄県大宜味村で主要農産物、地域資源の1つであるシークワーサーの果実や果皮を活用した商品開発からスタートしました。地域資源活用の取組みを聞きつけた隣村の東村からパイナップルについての相談が寄せられたことをきっかけに天然繊維事業や生分解性素材事業への取り組みが始まりました。
 パイナップルの実を収穫した後は大量の葉が畑に残されるが、その葉には多くの繊維があるため分解が遅く畑のやっかいものとなっていた。一方、繊維質の多い植物から繊維を抽出する技術や研究は古くからあったが、作業効率も悪く量産化も難しくビジネスとしては成り立っていなかった。そこで抽出技術の研究開発に取り組み、コンパクトで循環利用可能な水の微粒子を高圧で噴射することで繊維を抽出可能とした世界初のオリジナルマシンの開発に成功し「天然繊維事業」に着手されています。また、この繊維抽出の過程で出てくる残渣は、家畜飼料や有機肥料として、さらに生分解性素材としてバイオプラスチック製品、ストロー、カトラリー等の食器類の商品として付加価値の高い製品開発「生分解性素材事業」の展開も進めておられます。
 このようなフードリボンの取り組みは、SDGsの目標達成につながるものである。1つは衣服の大量廃棄と処分の問題、さらにはコットンの生産・収穫に係る児童労働問題、そして世界初の技術の開発は、繊維抽出の際に使用される水についても循環利用可能となっており水資源の削減に繋がり、天然繊維を活用することで、環境に優しい、持続可能な社会の実現にも貢献しうる取組となっている。また繊維抽出の機械は、パイナップル農家に直接貸与することで直接収入が還元されるし、コンパクトであることから収穫後の畑で直に使用することができるため重労働な農作業の軽減にもつながる。
 「捨てるものがない明日へ」をコンセプトに未利用資源に新たな価値を見出し、SDGsの解決につながるビジネスを展開されている素晴らしい会社であると言えます。
 
【研究会を終えて】
 今回の研究会では、SDGsの視点から地域にある、捨てられていた未利用資源を活用し、地域独自の魅力ある社会の実現に向けてビジネスを行うことで新たな価値創造に取り組まれている株式会社FOOD REBORNの平良香織氏を招き、講演をいただきました。沖縄らしい地域創生を実践する取り組みに対して、講演後、参加者らとの活発な質疑応答が繰り広げられ、盛大に終わることができました。
 

 
(文責:林 優子)

 
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