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研究報告会レポート

第8回サービス・マーケティング研究報告会レポート「地域コミュニティ・生活者のウェルビーイング」

第8回サービス・マーケティング研究報告会(春の三都市リサプロ祭り:大阪会場) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:地域コミュニティ・生活者のウェルビーイング
 

  1. 解題:地域コミュニティ / 生活者のウェルビーイングを探求する意義は何か
    
小野 譲司(青山学院大学 経営学部 教授)
  2. ICT時代のコミュニティ形成とウェルビーイングの関係
    
森藤 ちひろ(関西学院大学 人間福祉学部 教授)

日 程:2024年3月9日(土)9:30-10:50
場 所:武庫川女子大学 中央キャンパスおよびZoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 本研究会では、2022年度から「ウェルビーイングとマーケティング」をテーマに研究会を行っている。ウェルビーイング研究は、消費者・生活者の個人レベルの幸福感にフォーカスを当てた議論だけでなく、コミュニティや地域といった集合レベルでのウェルビーイングにフォーカスを当てた研究群がある。
 
 そこで、小野氏が解題として、本研究会でどのように消費者のウェルビーイングを捉え、議論してきたかを概観したうえで、集合レベルでウェルビーイングを探求するねらいを明らかにした。地域コミュニティがソーシャルウェルビーイング、コミュニティウェルビーイングなどの集合レベルのウェルビーイングに及ぼす影響を考察し、地理的なコミュニティと心理的なコミュニティの形成を促すマーケティングがもたらす価値が焦点となる。
 
 森藤氏は「ICT時代のコミュニティ形成とウェルビーイングの関係」をテーマに、概念的議論を概観したうえで、地域コミュニティについての事例研究を報告した。すなわち、ウェルビーイングは、へドニア、ユーダイモニア、ソーシャルのウェルビーイングに分類され、コミュニティウェルビーイングはソーシャルウェビーイングと関係が深い。本報告では、コミュニティウェルビーイングが生じる状況と向上させる要因を複数のケースから考察した。
 
 個人レベルと集合レベルのウェルビーイングの間には相互作用があるが、森藤氏の報告は、その相互作用を促進させるキーパーソンとして、コミュニティへの外部参入者に着目したものであった。
 
 近年、コミュニティは地縁よりも価値観、人生のミッションを共有できる相手との結びつきによって形成される傾向が強くなっている。地域コミュニティにおいて、外部参入者がコミュニティの活性化に影響を与え、ミクロ、メソ、マクロの階層を越えて複数の相互作用を発生させている可能性が事例から窺えた。そのような現象はICTの普及と関連が深い。ICTはコミュニティ内のコミュニケーションにおいて重要な役割を担うだけでなく、外部参入者のコミュニティへの参入障壁を下げ、コミュニティの広域化を加速させていると考えられる。
 
(文責:小野 譲司)

 
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