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第20回医療マーケティング研究報告会レポート「患者と医療者のコミュニケーションハブになる：ポケさぽの挑戦」 |
第20回医療マーケティング研究報告会（オンライン） > 研究会の詳細はこちら
テーマ：患者と医療者のコミュニケーションハブになる：ポケさぽの挑戦
日 程：2024年3月22日（金）18:00-19:00
場 所：Zoomによるオンライン開催
【報告会レポート】
1．「医療機関と患者の価値共創」
演者：的場 匡亮（昭和大学大学院 保健医療学研究科）
人口構造の推移が高齢化の急進から現役世代の急減へと変化をしており、厚生労働省では「上手な医療のかかりかた.jp」キャンペーンなどを通じて、医療機関と患者の双方が協力して医療の適切な利用を進めるための取り組みを支援している。限りある医療資源を適切な利用に向け、病院経営においては在院日数の削減、入退院のスムーズ移行が課題となっており、この分野に多くの投資がなされている。本セッションでは株式会社OPEReの小迫氏に登壇いただき、この分野におけるデジタル化を通じ、患者、医療機関のコミュニケーションの円滑化を目指す取り組みについて紹介をしていただきながら、議論を深めます。
2．「患者と医療者のコミュニケーションハブになる：ポケさぽの挑戦」
演者：小迫 正実（株式会社OPERe Chief Marketing Officer）
株式会社OPEReは看護師出身の創業者が「医療現場のオペレーションを刷新する、Renewing Operations」を目指して、2020年6月に創業した若い企業です。私は病院経営に携わりたいと思い、新卒で病院に入職し、ITの力が重要だと思ってヤフーに転職し、また病院経営に携わりたくなって病院の経営企画に戻り、今はその両方ができる会社ということでOPEReに参画しています。
2022年度版モバイル社会白書によれば、60代の方が別居家族と連絡を取る際に利用する手段はLINEでのメッセージが半数を占めています。60代以下はスマホの保有率も高く、スマホはコミュニケーションの重要な手段の一つとなっています。病院は病床の効率的な活用、患者のシームレスな入退院を実現するためにPatient Flow Management（PFM）を重要視しています。このPFMを担う部門への業務は増加の一途をたどっており、新型コロナウィルス感染症の影響もあって人材の確保が難しくなってきています。
こうした背景受けて開発されたのがポケさぽであり、具体的には病院に患者が入院する際には、30分から1時間程度、入院にあたっての注意事項や当日の持ち物などの説明を受けますが、ポケさぽはLINEと動画を使って、このコミュニケーションをより良いものにしていくことを目指しています。病院と患者とが入院前という期間限定で「LINE」によって繋がり、患者に合わせたコミュニケーションを自動実行していくことで、患者の理解をサポートするとともに、業務負荷の軽減を図り、対面業務が半減した、30%のペーパーレスを達成するといったケースも出てきています。入院説明から始まったサービスは、内視鏡検査の説明や、妊婦に対する出産までのフォローアップなどにも利用されるようになってきています。患者説明のDXには、①説明を動画化する、②配布資料をPDFなどに置き換える、③必要情報のリマインド、④電話応対のチャット化、⑤予約やアンケートなど＋αのコミュニケーション、といった段階があり、顧客である医療機関の状況によって対応を分けています。
最後に、このポケさぽのマーケティングをいかに行うか、という点ではWHO、WHAT、HOWを意識しています。WHOとしては、当初は職種やポジションを意識していましたが、導入事例の分析から「人材難を認識し、現場と同じ方向を向いている管理職」と定義しています。WHATやHOWにおいても、これまでの経験をいかし、KPIの設定、オウンドメディアによるインバウンドマーケティング、企業とのコラボレーション、展示会への出展、代理店による販路拡大などを行っています。認知獲得、人材獲得、事業開発という、それぞれのループを組み合わせながら、opere.jpへの流入を増やしていくことを目指しています。
3．ディスカッション
進行：原 広司（横浜市立大学 国際商学部）、的場 匡亮（同上）
講演を受けたディスカッションでは、サービスを利用する患者や医療機関の反応、競合との差別化、スマホに慣れない方への対応、カスタマーサクセスなどについて幅広い議論が交わされ、報告会が終了となりました。
（文責：医療マーケティング研究プロジェクト リーダー 的場 匡亮）
