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研究報告会レポート

第4回ニューロ・サイエンスの流通マーケティング活用研究報告会レポート「顧客接点とブランドの定着化 ― ニューロサイエンスの視点から ―」

第4回ニューロ・サイエンスの流通マーケティング活用研究報告会(東京) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:顧客接点とブランドの定着化 ― ニューロサイエンスの視点から ―

  1. 「ブランドの定着化(習慣化)をはかるために ― ニューロサイエンスの視点から ―」
    中村 博(中央大学 戦略経営研究科 教授)
  2. 「認知バイアスとニューロサイエンスの視点によるカスタマージャーニーの考察」
    杉本 ゆかり(跡見学園女子大学 兼任講師)

日 程:2024年3月29日(金)18:00-19:30
場 所:中央大学 駿河台キャンパス 5階 501教室
 
【報告会レポート】
 当日の参加者の顔ぶれは実務家が多く、調査系担当あるいは商品開発系の仕事に従事している方々が多くみられ、質問も実務的な内容が多かった。参加者は対面にも関わらず18名であった。
 
 中村の報告は、デフレの時代からインフレの時代、PBシェアの増加などNBメーカーにとってブランドの定着化の重要性が増している状況下、ブランドのトライアル購買、リピート購買、定着化(習慣化)の過程のなかで、ブランドの定着に達するにはどのようなことを考慮すべきか、ニューロサイエンスなどの視点から下記のリサーチクエスチョンを検討した。
 
RQ1)どのチャネルで初回購買(1回目)、反復購買(2回~5回)、習慣購買(6回目以降の購買)が発生しているか?
RQ2)どのようなショッパーが習慣化しやすいか?:ブランドが含まれる商品カテゴリーの購買量(使用量)が多いほど習慣化しやすいのではないか?
RQ3)習慣化するブランドはカテゴリーのノンユーザーの購買を促進し、カテゴリーの需要創造や既存ユーザーによるカテゴリーの活性化をする可能性がある?
RQ4)導入後、早い時期に購買をしたショッパーほど習慣化しやすい傾向にある?
 
 杉本の報告は、ニューロサイエンスの研究対象は、脳神経科学のみならず、心の働きのメカニズム解明、人の意思決定や社会の在り方の理解にまで及んでいることを指摘し、ショッパーの日常生活から購買行動、消費後までのカスタマージャーについて、認知バイアスとニューロサイエンスの視点で検討し報告した。とくに非計画購買を【新奇性購買】【想起購買】【サリエンス購買】【参照価格購買】【リスク回避購買】【身体化認知購買】に分類し、非計画購買が多様な購買動機やバイアスによって発生していることの示唆が得られた。本研究で明らかにした【想起購買】を除く非計画購買は、Sternの純粋型衝動購買、提案受入型衝動購買や、田島・青木の条件購買、衝動購買を、より具体的なマーケティング施策を得るためにバイアスの視点で説明した。
 
 なお、報告では【想起購買】【サリエンス購買】【リスク回避購買】が3大非計画購買として多くの商品が購入されていたことから、店頭マーケティングではこれらを誘発させるような施策が求められる。例えば、【想起購買】を誘発するために、デジタルサイネージやPOP、売場の演出などによって想起を促すことは有効であることや、【サリエンス購買】を誘発するためには商品が目立つ必要があるが、注意をひくパッケージ開発や定番売場の優位置への商品陳列、定番外での大量陳列等が効果的であることを指摘した。また、また、【リスク回避購買】は、健康意識の高まりにより健康リスクへの考慮が含まれ、免疫力向上や疾患への注意喚起、ダイエット効果などを訴求するパッケージや売場の検討が購買意欲を高める施策となることも指摘した。
 
(文責:プロジェクトリーダー 中村 博)

 
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