第20回デザイン思考研究報告会レポート「『ハイブリッド・インテリジェンス』とデザイン思考:AI生成情報と人間との共創の可能性を探る」 |
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テーマ:「ハイブリッド・インテリジェンス」とデザイン思考:AI生成情報と人間との共創の可能性を探る
日 程:2024年10月25日(金)19:00-20:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
【報告会レポート】
生成AIが社会に浸透し始め、組織や個人としてのAI活用に注目が集まっています。その中で、AIが生成した情報をどのように活用するかが重要なポイントとなります。AIが生成した情報を活用し、人間とAIが連携してイノベーションを促進する枠組みが「ハイブリッド・インテリジェンス」(Dellermann D. et al. 2019, Piller F. et al. 2022)です。この枠組みは提示されていますが、共働の詳細な議論は十分に進んでいません。
そこで、人間とAIとの共創の実態とその領域へのデザイン思考の適用可能性を探るため、NECの志村典孝氏をお招きし、AI生成情報を製品開発に適用した2つの事例を報告頂きました。
第1の事例は
子供が苦手な野菜を食べることができる体験を実現するため、苦手とする野菜と相性の良い食材をNECのリンク予測AIが探索。この情報を使い、なめらかプリンを世に送り出した株式会社菓子道 代表取締役 所浩史氏、カゴメと共創し6種類のプリンを開発したプロセスの報告
第2の事例は
若年層の恋愛(行動)が減少している現象に注目し、高校生が恋愛に関心を持つ体験を実現するため、5つの恋愛シーン別の「恋AIパン」開発プロセスを報告
高校生の恋愛テーマの会話データを「プルチックの感情の輪」分類チャートをもとにNECのAIが感情シーン別にタグ付けしスコア化。さらに日本語の歌詞データベースを使用し同じようにタグ付け。これらの結果をもとに感情シーン別にシーン類似性のある食品を関連づける情報を生成。
この生成情報を使って、銀座木村屋総本店の北澤さんがパン製品に、色、味、食感などを考慮して製品化。
志村氏の報告の後は、AI(愛)のプリン開発に当初から係わった、カゴメの宮地雅典氏に登壇を頂き、商品メーカーのマーケティングの立場からの開発者とAIとの共創の優位性と課題についてお話しを頂きました。
その後、デザイン思考研究会メンバーの黒岩健一郎先生(青山学院大学)、吉橋昭夫先生(Designship Do コース全体監修)、小川誠様(株式会社プラグ 代表取締役)の皆さんと質疑を交えて意見交換を実施し、AI生成情報の活用、人間にとって有効な情報を生成するAIの学習データおよびデータ間組合せについての理解を深めました。
(文責:近畿大学 廣田 章光)