第19回デザイン思考研究報告会レポート「AIは製品開発をどう変えるのか:マーケティング、商品企画、イノベーション」 |
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テーマ:AIは製品開発をどう変えるのか:マーケティング、商品企画、イノベーション
- AIは商品企画を自動化できるか
小川 亮(株式会社プラグ 代表取締役) - AIと人間の共創によるイノベーション:グローバルな研究視点からの示唆
川上 智子(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授) - クロストーク&質疑
川上 智子(同上)
小川 亮(同上)
日 程:2024年10月24日(木)15:00-17:00
場 所:京橋エドグラン29F artience株式会社 インキュベーションセンター
【報告会レポート】
生成AIの登場以来、確実に業務に浸透してきているAI。商品開発、マーケティング、イノベーションのプロセスをどう変えていくのか。最新の研究をご紹介いただきながら、AI時代のイノベーション、新しい共創の形について報告、議論があった。デザイン思考におけるAIの活用場面について、プロトタイプを中心にした実務的な活用場面というミクロ的な視点とイノベーションプロセス全体におけるAI活用とデザイン思考の位置づけというマクロ的視点の両面で議論が展開された。
今回の研究会は、まず、小川氏から様々に登場するAIツールの紹介とともにデザイン思考におけるプロトタイプ開発シーンでのAI活用の有用性についての報告があった。また、商品企画そのもののプロセスを8つのパターンに分け、そのうち6つのプロセスはAIを活用することで自動化できることの可能性についての報告があった。
次に川上教授からは、共創プロセスとしてのイノベーションのフレームとしてMAINモデルと価値共創分析マトリクス(Value-Co-creation Analyses Matrix: VCAM)が提示され、多くのポイントでAI導入の可能性があることの説明があった。
また、デザイン思考におけるAI活用の可能性として、
1)人間中心:膨大なデータを活用できる
2)アブダクション:超越的な視点と試行錯誤できる
3)高速反復:使用経験を反映・更新できる
という3つの領域と活用しやすい理由について触れ、「リニアモデル」から「人間とAIの共創と創発」への進化の可能性が示唆された。また、グローバルな研究動向からの示唆としてAIにより価格や品質のパーソナライゼーションが進む一方で、顧客の選別、社会的不平等の拡大、人間の自立性の喪失、被操作感の無意識化といったAIでは解決できない課題の存在やAIが活用されている領域として開発段階が多いこと、またAIの効果を実感しているのは中位レベルのスキルを持つ人といった最新の研究が紹介された。
(文責:株式会社プラグ 小川 亮)