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第15回ブランド&コミュニケーション研究報告会レポート「ブランドへの“愛着”とはいったいなにか? ―脳神経科学からブランド論を考える」 |
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テーマ:ブランドへの“愛着”とはいったいなにか? ―脳神経科学からブランド論を考える
日 程:2025年1月25日(土)15:30-17:20
場 所:上智大学 四谷キャンパス 6号館 ソフィアタワー
司会・指定討論:杉谷 陽子(上智大学 経済学部 経営学科 教授)
ゲスト講師:綿貫 真也 氏(流通科学大学 商学部 教授)
【報告会レポート】
ブランド研究においては、消費者がブランドに対して抱く愛着感情(例えば、ブランド・ラブやブランド・アタッチメントなど)が、ブランドの成功の鍵であることが指摘されてきた。数多くの実証研究によって、消費者がブランドをあたかもパートナーのようにとらえ、強い愛着感情をいだいているとき、当該ブランドの再購買確率は高まり、ブランドスイッチが起こりにくくなり、また、悪いクチコミによって影響を受けにくくなることなどが明らかにされてきた。
それでは、なぜブランドへの愛着感情は、このような強い効果を有するのだろうか。先行研究では、愛着理論(Bowlby, 1980)や自己拡張理論(Aron & Aron, 1986)など、人間同士の関係を扱った心理学の理論を、ブランド愛着の効果の説明に援用していることが多い。しかし、モノ(ブランド)に対する愛着と、人に対する愛着が同じであることを前提とした議論は、はたして妥当なのであろうか。
この問いについて考えるため、第15回研究会では、ブランド・ラブやブランド・エクイティなど、ブランド研究の重要概念について、脳神経科学の研究手法を用いて精査されてきた綿貫真也教授(流通科学大学商学部)をゲスト講師としてお招きし、ご講演をいただいた。具体的には、綿貫先生が最近海外誌に発表された、以下の4本の論文の内容について解説をいただいた。
Watanuki, S. (2022). Neural mechanisms of brand love relationship dynamics: Is the development of brand love relationships the same as that of interpersonal romantic love relationships? Frontiers in Neuroscience, 16, 984647.
Watanuki, S. (2025). Aesthetic evaluation underpinning brand love relationship development: an activation likelihood estimation meta-analysis and multivariate analysis. Frontiers in Neuroscience, 18, 1443578.
Watanuki, S., & Akama, H. (2020). Neural substrates of brand love: an activation likelihood estimation meta-analysis of functional neuroimaging studies. Frontiers in Neuroscience, 14, 534671.
Watanuki, S., & Akama, H. (2022). Neural substrates of brand equity: applying a quantitative meta-analytical method for neuroimage studies. Heliyon, 8(6), e09702.
綿貫先生のご研究成果から、ブランドへの愛情と人間への愛情では脳の活動部位が異なっている可能性が指摘され、消費者がブランドに抱く感情を説明するためには、社会心理学や認知心理学の理論を援用するのではなく、ブランド論として独自の理論を構築することの重要性が提案された。また、ブランド・ラブのステージごとに脳の活動部位が異なる可能性も紹介され、時系列的な変化の視点からブランド評価をとらえる重要性についても指摘された。
ご講演後にはフロアの参加者を交えた熱心な意見交換が行われた。多数の参加者のもとで盛会のうちに終了した。
(文責:杉谷 陽子)

