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研究報告会レポート

第9回ヘルスケアビジネス研究報告会レポート「韓国医療の状況及び医療DXとマーケティング」

第9回ヘルスケアビジネス研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:韓国医療の状況及び医療DXとマーケティング
日 程:2024年12月21日(土)18:30-20:00
場 所:Zoomによるオンライン開催
司 会:真野 俊樹 氏(中央大学ビジネススクール(大学院戦略経営研究科) 教授 / 多摩大学大学院 特任教授)
演 者:橋本 悟 氏(株式会社テクロス / 中央大学ビジネススクール 博士後期課程)
    小田 一之 氏(インタークロス株式会社)
    大西 翼 氏(公益社団法人地域医療振興協会 練馬光が丘病院 感染症内科)
 
【報告会レポート】
 ヘルスケアビジネス研究会は、真野俊樹教授をリーダーにマーケティングの視点でヘルスケアビジネスを探求する研究会です。第9回となる今回の研究会では、「韓国医療の状況及び医療DXとマーケティング」というテーマで、韓国医療と医療DXについて、グローバルな議論を実施した。当日は会場とオンラインでの開催で20名を超える参加者の下、活発な情報共有の場となった。今回の研究会では、2024年10月初旬に行った韓国の医療DXおよび病院視察を元に、DXとマーケティングの視点を持って韓国医療について議論した。韓国は医療ツーリズムを積極的に行うなど、産業的視点をもって医療を展開している。更に、韓国におけるヘルスケアマーケティングの実践事例を紹介すると共にマーケティングの視点から検討することができた。今回の研究会を通じて、高齢化が急速に進んでいる国において、また、急速に経済発展している国において、医療分野でどのような変化が起きているのかを、医療機器の経営者、医療情報の経営者、医師の視点から幅広い知見の共有ができることを期待する。
 
講演1「韓国の専門病院と大学病院 ~韓国の医療視察から見えた現状~」
橋本 悟 氏(株式会社テクロス / 中央大学ビジネススクール 博士後期課程)

 橋本氏は、米国の大学卒業後に外資系コンサルティング会社に入社、ヘルスケア領域のリサーチアナリストを経て、1997年にジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社にて循環器領域の製品マーケティングを担当。その後は同業界の外資系企業で営業・マーケティング・開発などに携わり、2005年9月に株式会社テクロスを創業。株式会社テクロスでは、循環器領域国内最大のニュースサイト(TCROSS NEWS)の配信、および学術集会・ライブデモンストレーションコースの企画・運営に加え、医薬品・医療機器企業の製品マーケティングのコンサルティングを行っている。
 今回の講演では、2024年10月に実施した韓国での病院視察を中心に発表頂く。冒頭では、日本と韓国の公的保険制度の比較を行い日韓の類似点と共に違いについて共有した。韓国では1963年に医療保険法が成立し、1989年に国民皆保険体制が確立した。その後、2003年には国民健康保険の保険者が一元化された。韓国では保険者が一元化された国民健康保険制度が存在するが、保険でカバーされる療養給付の割合は低く、多くの非給付診療行為が認められている。そのため、各医療機関において混合診療が行われ、さらに民間の実損医療保険が発達している。今回、現行の保険制度の下で発展を続ける韓国の医療現場として、仁川セジョン病院、韓国のビッグ5と称されるSeoul National University Hospital、Samsung Medical Centerなどを視察した他、HIMSS APAC2024へ参加した。韓国の病院における、医療経営、DX導入、国際認証制度などへの取り組みについて、現状を紹介頂いた。今回視察した病院では、日本以上に積極的なIT化が進んでいる韓国医療の現状を伺うことができた。
 
講演2「TOP10補正論文数推移と韓国見学により得た情報の整合」
小田 一之 氏(インタークロス株式会社)

 小田氏は、工学博士 MBA。東京家政大学リハビリテーション学科非常勤講師。1999年医療機器メーカであるインタークロス株式会社を創業。2020年東京都次世代イノベーション事業採択。
 今回の講演では、韓国での病院視察の報告と共に、韓国医療と日本医療の比較の他、ソウル大学における研究活動概要について紹介頂く。現在、TOP10補正論文数で、韓国は10位であるが毎年その順位を上げている。一方、我が国は直近10年徐々に順位を落とし、韓国をはじめスペイン・イランなどにも抜かれ2023年において13位となっている。小田氏は、日本と韓国に順位変動の要因について、韓国における医療データの一元化推進やOpen Data Base構築が寄与した可能性が否定できないと考察した。また、研究を取り巻く環境として、韓国における学術的な戦略、評価システム、競争文化なども順位変動の背景にあるのでないかと推察している。今回視察した病院では、日本以上にDX化が進んでいるが、ホスピタリティなどの視点では日本の医療についても、その良さを再確認する機会となった。
 
講演3「韓国における医療DXと『患者中心の医療』への取り組み」
大西 翼 氏(公益社団法人地域医療振興協会 練馬光が丘病院 感染症内科)

 大西氏は、2007年⻑崎大学医学部卒業。板橋中央総合病院、自治医科大学附属病院感染症科を経て現職。2021年中央大学ビジネススクール修了。
 今回の講演では、HIMSSの講演ならびに韓国での病院視察を通じて、医師の立場から得られた知見を共有頂いた。冒頭では、日本の病院外来診療の流れから日本の医療の課題を浮き彫りに、たとえば、待ち時間が長いことやDX化の遅れなど、今回の韓国での病院視察から韓国と日本の違いを医師の立場から紹介頂いた。韓国の医療システムで進化を続けるDXと患者中心の医療という光の部分だけでなく、地域格差や医療従事者の働き方など影の部分についても言及いただいた。最後は、日本の医療DXについて全国医療情報プラットフォームや電子カルテ情報共有サービスなど私見と共に日本医療の未来像について紹介頂いた。
 
質疑応答とClosing Remarks「韓国医療に起きていることからマーケティング思考での日本への示唆」
真野 俊樹 氏(中央大学ビジネススクール(大学院戦略経営研究科) 教授 / 多摩大学大学院 特任教授)

 真野先生から本日の講演の振り返りと共に、会場、オンライン参加者からの質疑応答を行った。韓国医療の現状や医療DXの方向性など幅広い質疑応答が交わされた。ダビンチなど医療DXの拡大は、若手外科医の育成やホスピタリティの支援など幅広く医療サービスに影響を及ぼす。医療DXの他にも、混合診療、カルテ開示と情報共有、外国人優先の医療サービスなど想定される多くの課題についても参加者で共有することができた。
 
 本日の研究会では、韓国での病院視察から韓国医療の現状や医療DXについて幅広い議論を交わすことができた。今回は2024年最後の研究会となったが、来年度についても、より充実した内容でヘルスケアビジネスについての研究を探求していくことで本年の活動を終えた。
 本研究会では、ヘルスケアビジネスについて新たな知見の共有や討議を通じて、日本のヘルスケアビジネス推進に寄与したいと考えております。ヘルスケアビジネスに興味を持つ多くの方々のご参加をお待ちしております。
 
(文責:佐藤 幸夫)

 
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