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第14回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会レポート「CESに見るインダストリーイノベーションの様相」

第14回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会(オンライン) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:CESに見るインダストリーイノベーションの様相
 

  1. 「本研究の狙いと今後の展望」
    コーディネート:森 一彦(京都先端科学大学 国際学術研究院 教授)
  2. 「CES2025報告 ― 生成AIが再定義する顧客体験」
    発表者:朝岡 崇史(株式会社ディライトデザイン 代表取締役 / 法政大学大学院 客員教授)

 
日 程:2025年2月11日(火)19:00-21:00
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【発表内容の要約】
 2014年から過去10年間以上にわたって取材、分析し、マーケテイング視点で定点観測している発表者(朝岡崇史)が世界最大規模・世界最先端のテックイベントであるCES2025でのカンファレンスや展示の動向を、「生成AIが再定義する顧客体験」という切り口で報告を行った。
 
・CESの過去約10年間の振り返り、CES2025のテックトレンド
 過去約10年のCESの変遷を振り返り、CES2015におけるシスコシステムCEOのジョン・チェンバース(当時)の「Disruption」(破壊的イノベーション)発言に象徴されるような破壊的な動向が続き、スマートフォン・IoT・AIなど先端テクノロジーによるイノベーションは、多くの企業に事業モデルの変革を促し、結果として「顧客体験のTransition」も加速してきている来歴を報告した。
 同時並行して、テクノロジーの広がりが地球規模に及ぶと共にサステナビリティに対する理解や共感も進み、ハイテク企業は世界を便利で楽しく変えるだけでなく、脱炭素や社会課題の解決にも責任を持つべきであるという考え方も広く浸透してきているという分析動向を解説した。
 このような流れを受けて本報告では、CES2025の技術的なハイライトは、昨年に引き続き、自律化が進む「生成AI」であり、生成AIを使って顧客体験を「再定義(Redefine)」をアピールすることが、影響力のある最先端テック企業の共通テーマとなったという基本視点が提示された。
 
・基調講演でインパクトを残した最先端テック企業4社のプレゼン内容を報告、解説
 エヌビディア、アクセンチュア、パナソニック、デルタ航空の基調講演の内容をわかりやすく再現する形で映像や写真を交えて紹介した。
1)エヌビディアはジェンスン・ファンCEOがAIエージェントを企業に売り込むビジネスを本格化させるとともに、物理的な世界でAIを稼働させるためのフィジカル(物理的)AIが今後の生成AIビジネスの主戦場になることを1万2千人の大観衆を前に強く印象付けた。
2)アクセンチュアはジュリー・スィート会長兼CEOがエヌビディアと連携して「AI Refinery」(AI精製工場)というサービス名称でカスタマイズしたAIエージェントを企業向けにプロモートしていくことを宣言した。
3)パナソニックは楠見雄規CEOが登壇し、企業理念に基づくサステナブルな取り組みを具体的に紹介するとともに、生成AIを活用したビジネス変革を推進する「Panasonic Go」という事業構想を発表した。
4)また、話題の没入型シアター・Sphere(スフィア)を借り切り、創業100周年を記念する基調講演を行ったデルタ航空は、エド・バスチアンCEOがAIエージェントを導入した会員向けアプリ「デルタ・コンシェルジュ」を紹介した(アプリは年内導入)。没入体験の演出を駆使した圧巻のプレゼンテーションに1万8千人の観衆は魅了されたが、エド・バスチアンCEOはデルタ航空の成功は従業員の貢献によるものであり、生成AIはツールに過ぎず、企業の最大の資産は従業員や組織文化であることを強調した。
 
・その他、生成AIの導入で「顧客体験の再定義」が加速する3つの領域の動向
 生成AIがパーソナライゼーションという特性を利用して、顧客体験を豊かに変革する1)デジタルヘルス、2)スマートホーム、3)モビリティの取り組みを、最先端テック企業の記者会見(トヨタ、LGなど)、ブース展示、CES Innovation Awardsの受賞作品を通じて紹介した。
 

 
【次回開催】
 第2弾として2025年3月15日(土)に森一彦(京都先端科学大学 国際学術研究院 教授)と朝岡崇史(株式会社ディライトデザイン 代表取締役 / 法政大学大学院 客員教授)による「CESの10年の振り返りとーキーノートスピーチからのOfferingとしての展望」に関する報告会を予定している。
 
(文責:朝岡 崇史)

 
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