第12回アート・イン・ビジネス研究報告会レポート「企業によるアニメ・ファン層拡大の最新取り組み」 |
第12回アート・イン・ビジネス研究報告会 (リアル・オンライン併用開催) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:企業によるアニメ・ファン層拡大の最新取り組み
報告タイトル:日本IPの躍進とDNPの挑戦~国内外で繰り広げられる新たなビジネスの形
報告者:上田 哲也 氏(大日本印刷株式会社 コンテンツ・XRコミュニケーション本部 コンテンツビジネス開発ユニット 事業開発部 部長)
ファシリテーター:野澤 智行(福井工業大学 教授)
日 程:2025年2月20日(木)18:00-19:30
場 所:中央大学 駿河台キャンパスおよびZoom使用によるオンライン開催
【ゲストプロフィール】
上田 哲也 氏
大日本印刷株式会社 コンテンツ・XRコミュニケーション本部 コンテンツビジネス開発ユニット 事業開発部 部長
2002年 大日本印刷株式会社 入社。実空間とデジタルを融合したインタラクションデザインを主テーマに、海外美術館との鑑賞体験の共創や企業マーケティングでのXRサービス開発等に従事。並行して、国際学会での論文執筆や研究機関・大学との共同研究等、産学連携の取り組みを推進。2016年より新規事業開発部門にて、クリエイターとファンをつなぐ、DNPクリエイター共創サービス「FUN’S PROJECT」をリリースし、2021年 渋谷「東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA」を総合プロデュース。2022年より、現部門部長として、コンテンツの魅力を世界に届けるべく、リアルとバーチャルを融合した体験価値を、様々なパートナーと共創中。
【報告会レポート】
第12回アート・イン・ビジネス研究報告会をリアルとオンラインのハイブリッドで開催し、30名超の方々にご参加いただきました。本研究会は、これまでアート・マネジメントやアート・マーケティングといった領域で蓄積されてきた知見と実際のビジネスとの懸け橋となる研究を目的としております。今回は、推し活などでその新しい消費者行動が注目されているアニメ・ファンについて、大日本印刷株式会社(DNP)がマンガやアニメを中心とした日本発の知的財産権(IP)の魅力を国内外に拡大している取り組みについてご紹介いただき、参加者によるディスカッションを行いました。
上田氏による報告の様子
上田氏より、まず日本のマンガやアニメが生み出すIP経済圏の全体像やIP価値最大化を支えるキープレーヤー(コンテンツホルダー⇔ライセンシー⇔流通チャネル)の構造について説明がありました。次に、その環境において、来年150周年を迎え様々な事業を展開するDNPが「コンテンツXRコミュニケーション」事業*1として、リアルとバーチャルの双方向でコンテンツをプロデュースし、国内外に拡大させている事例をご紹介いただきました。例えば、渋谷の「東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA」*2は日本のカルチャーの中心地のフラッグシップとして機能し、イベントなどの来訪者はDNPがプロデュースした高品質のグッズも目当てにしており満足度も高いとのことでした。また、未来への展望についてもご紹介いただき、アートとしてのマンガ・アニメの可能性としてサンフランシスコのデ・ヤング美術館でのマンガ展や、生成AIの発展として人気IPをパーソナル・アシスタントにできる将来像をご紹介いただきました。
最後のディスカッションでは時間内で収まらないほどの質問があり、リアルでのイベントや展示施設を持つことの意義や、原作作家との関係性、特に作家の思いを共有することの重要性、また国内の地方展開や海外の消費者の違いなど広範囲な議論が交わされました。
上田氏より多岐にわたる事例をご紹介いただき、マンガ・アニメのファン層拡大について企業の最新取り組みを深く知ることができました。今回の報告が、実際にビジネスに関わっていらっしゃる学会員の方々にとってお役に立てれば幸いです。
参加者の皆様ありがとうございました。
*1「XRコミュニケーション®」はDNP(大日本印刷)の登録商標です。
*2「東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA」は一般社団法人日本動画協会とDNP(大日本印刷)の共同運営事業です。
(報告書作成:プロジェクトリーダー 大西 浩志)