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第2回スポーツイベントサービス価値研究報告会レポート「地方マラソンのマーケティングの課題」 |
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テーマ:地方マラソンのマーケティングの課題
報告者:松田 栄策(JAL 向津具ダブルマラソン事務局 / 長門市 観光スポーツ文化部)
河端 信也(日本航空株式会社 山口支店長)
司会:西尾 建(山口大学 経済学部 観光政策学科 教授)
パネルディスカッション
コーディネーター:西尾 建(同上)
パネラー:松田 栄策(同上)
河端 信也(同上)
湯浅 伸昭(株式会社HM-A / ホノルルマラソン日本事務局 エグゼクティブプロデューサー)
三日市 勝臣(株式会社HM-A / ホノルルマラソン日本事務局 マーケティングプランナー)
日 程:2025年3月25日(火)17:00-18:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
【報告会レポート】
第2回研究会では「地方マラソンのマーケティングの課題」をテーマに、ランネットの2024年度ウルトラマラソンランキングで全国第3位の高評価を得た「JAL向津具ダブルマラソン」の大会事務局・松田氏と、スポンサー企業である日本航空山口支店長の河端氏にご講演いただきました。また、後半はホノルルマラソン日本事務局の湯浅氏と三日市氏も加わり、パネルディスカッションを開催しました。
冒頭に西尾からマーケティング教育と地域貢献に関して山口大学とマラソンとの関わりに関しての紹介のあと、前半の講演で松田氏からは、CNNの「日本で行くべき観光地」に選ばれた元乃隅神社の赤い鳥居と、JALの赤色のロゴマークが一致したことが、大会開催のきっかけとなったエピソードが紹介されました。その後、大会の概要(ダブルマラソン、フルマラソン、棚田ウォーク)や参加者アンケート結果が共有され、地方マラソンが持続的に運営されるために必要な組織形態や、景観・食・温泉・文化を融合させリピーター増加につなげるマーケティングサイクル(①知る→②体験→③改善→④魅力発信)について詳しく解説されました。
河端氏からは、スポンサー企業として地方マラソンに関わる意義について説明がありました。地元の山口大学や東亜大学と連携したCSR活動を通じて、①地域活性化、②観光客誘致、③地域住民の健康促進やコミュニティ形成を目指していることが紹介されました。

画像左より、ランナーへの観光魅力発信4つのポイント、リピーターを増やすための改善サイクル
後半のパネルディスカッションでは、最初に「地方マラソン大会の集客・マーケティングにおける都市型マラソンとの差別化」をテーマに議論しました。具体的には、地域の観光魅力を効果的に発信する工夫や、地元食材を使ったエイドステーションの充実、初心者でも参加しやすいように制限時間を緩和しているホノルルマラソンの取り組みを参考にした提案などがあげられました。
次に、「スポンサー企業が地方マラソン大会に求めること」について議論しました。航空会社としては首都圏からの航空需要拡大が第一ですが、マラソンをきっかけとして観光・スポーツ・人材育成・SDGsなど多面的な情報発信を行い、交流人口の拡大や地方の認知度向上を目指していることが示されました。
さらに研究会メンバーからは、マーケティングの観点で、運営側からの情報発信に加えてランナー自身によるSNS発信の重要性や、大会がランナー個人の楽しみだけでなく、その楽しみを提供してくれた沿道の応援者やボランティアスタッフ、大会運営者への感謝を伝える気運を醸成することで、リピーターや大会ファンの増加につながるという意見があり、議論が盛り上がりました。
本研究会では、今後もマーケティングを切り口として、さまざまなスポーツイベントを取りあげていく予定です。
(文責:西尾 建)

