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第29回地域活性化マーケティング研究報告会レポート「地方創生 − 現在・過去・未来 −」 |
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テーマ:地方創生 − 現在・過去・未来 −
報告者:辻田 昌弘 氏(まちづくろい総研 代表 / 政策研究大学院大学 非常勤講師)
日 程:2025年5月31日(土)17:00-18:30
場 所:青山学院大学 青山キャンパス 17号館8階 大学院国際マネジメント研究科
「青山ビジネススクール(ABS)」17808教室
【報告会レポート】
今回の研究報告会では、辻田先生より、政府が推進する地方創生について、「現在」の状況を「過去」(これまで)の政策との整合性から振り返り、課題を的確に認識するとともに、地方創生の「未来」(今後)を正しく見据えて取り組んでいくべきとの考えが示されました。
具体的には、国際的な都市間競争の中で東京を重点的に成長させていく政策と地方に資源を分配していく政策の二兎を追うという2010年代以降に顕在化する課題や、徳島県神山町・上勝町、島根県海士町など広域合併しなかった自治体の独自の地域活性化の特徴、定住人口の増加より関係人口の増加を図ることで得られる新しい意味での地域活性化の担い手への期待、地域住民のウェルビーイング向上をテーマとする地域創生の具体例などが述べられました。
また関係人口に関する参考文献として、①小田切徳美(2024)『にぎやかな過疎をつくる: 農村再生の政策構想』農山漁村文化協会、②田中輝美(2021)『関係人口の社会学―人口減少時代の地域再生』大阪大学出版会の2冊(辻田先生の当日会場での紹介順)について紹介されました。
出席者からも現在取り組んでいる地域活性化の課題の共有や、関係人口の増やし方についての意見交換が積極的になされ盛会となりました。

写真左より、辻田昌弘氏(まちづくろい総研代表)、会場の様子
【報告会を終えて】
辻田先生の長年の地方創生への関わりから指摘される、これまでの地方創生政策の矛盾点のご説明がとても説得性がありました。また2015年以降の各地で策定された地方創生総合戦略も共通した課題があるなか、独自のテーマを独自の手法で見出し独自の取組みで実践する神山や海士町の事例が、成功事例といっても単に他地域に横展開できないことをも正しく認識できました。
さらに、関係人口の関係とは、定住でなく観光でなく、どう捉え、どのような具体策で増やしていき地域活性化につなげていくか、深く考察する機会をいただきました。どうもありがとうございました。
(文責:宮副 謙司)

