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研究報告会レポート

第34回プレイス・ブランディング研究報告会レポート「モノから場所へ ― MUJI が挑戦するこれからの場所づくり ―」

第34回プレイス・ブランディング研究報告会(カンファレンス2025> 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:モノから場所へ ― MUJI が挑戦するこれからの場所づくり ―
講 演:良品計画のソーシャルグッドな取組み ― 生活者と創る地域体験とコミュニティの場 ―
講演者:高須賀 大索 氏(株式会社良品計画 ソーシャルグッド事業部 部長)
日 程:2025年10月12日(日)13:10-14:30
場 所:法政大学 市ケ谷キャンパス
 
【報告会レポート】
講演の様子 本研究会では、企業と地域との新たな関係づくりを考えていくために、株式会社良品計画ソーシャルグッド事業部の高須賀氏に「良品計画のソーシャルグッドな取組み」と題して講演してもらいました。
 まず最初に、高須賀氏から良品計画(無印良品)の歩みと共に、グラフィックデザイナーの故・田中一光氏の言葉が紹介されました。同社は創業時から「これがいい」ではなく「これでいい」という理性的満足を重視し、素材の選択・工程の点検・包装の簡略化を基本原則として、環境負荷の抑制にもつながる商品開発を行い、われ椎茸や簡易包装カレーのように、顧客の理性的判断に訴える商品づくりを通じて、「足るを知る」ライフスタイルを提案しています。
 21世紀に入り、「感じ良い暮らし」から「感じ良い暮らしと社会」へと進化する中で、「地域への土着化」を目指し、「ソーシャルグッド事業部」が設置されました。同事業部では宿泊、食、キャンプ、防災、コミュニティ拠点づくりなどを通じて、地域コミュニティのつながりづくりや地域課題の解決に取り組んでいます。その姿勢の特徴は「巻き込む」ではなく「巻き込まれる」立場として、企業主導ではなく地域住民の主体性を尊重して共創する点にあります。
 岡山市や前橋市における商店街再生では商店街組合との協働支援や、地域住民や自治体、NPOなどと連携したつながる市、小規模店舗の出店支援を通じて新しく挑戦する人の間口を広げる取組みを行っています。防災分野では「いつものもしも」プロジェクトを展開し、日常生活の中に防災を組み込む「ローリングストック」や子ども参加型の啓発活動を推進。また、地域の店舗で展開する「まちの保健室」では、薬剤師による健康相談やイベントを実施し、孤独や健康不安への地域的支援拠点を築いています。
 同社が岐阜県可児市に巻き込まれた事例としてカニミライブの紹介がありました。良品計画が市と連携協定を結び、店舗を「地域の共用部」としてオープンに活用することで、市民、行政、企業が協働する「場」をつくり出しています。例えば、無印良品の店舗内にあるカニミライブ図書館では地域の子育て世代を支援する団体が交わり、地域商社カニミライブでは「かにたろうクッキー」を始め、地域の農家や地元企業と連携して、地域の課題となっていた農産品の活用などを推進しています。部署横断的に市職員が集まり、どの課が何を担うかを対話的に決定するプロセスを設けた点が特徴であり、行政と企業、住民の間に新しい協働の形を生んでいます。こうした地域事業においては、行政や住民の主体性による自走化に向けて、次の世代にも合う(楽しい、興味関心がある、仕事にしたい、課題意識を持っているといった)取り組み方が重要で、人脈の可視化などの創意工夫も含め、押し付け型から自発型への移行が持続の鍵であることが強調されました。
講演の様子 以上、ソーシャルグッド事業部の取り組みから、良品計画が「企業が中心ではなく、地域に寄り添い、共に考え、学ぶ存在」として、生活者目線に立った経営を目指し、「ローカル・サステナビリティ経済」の可能性を探っていることが分かりました。その後の質疑応答も活発に行われ、地域に寄り添う無印良品のあり方が議論されました。今回の事例は全て現在進行形の取り組みであり、今後も様々な場所で展開される良品計画と地域との新しい取組みに注目していきたいと思います。
 

 
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