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第16回ブランド&コミュニケーション研究報告会レポート「ブランド・リレーションシップとはなにか:『ファン・マーケティング』の理論と実践」 |
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テーマ:「ブランド・リレーションシップとはなにか:『ファン・マーケティング』の理論と実践」
講 師:久保田 進彦 氏(青山学院大学 経営学部 教授)
指定討論:田中 洋 氏(中央大学 名誉教授)
日 程:2026年1月10日(土)15:30-17:30
場 所:青山学院大学 青山キャンパス
【報告会レポート】
ブランド研究では、消費者がブランドに対して抱く感情的な結びつき(「ブランド・リレーションシップ」)について、数多くの研究が積み重ねられてきた。消費者がブランドとの間に強い情緒的なつながりを自覚するとき、そのブランドの「ファン」となり、長い期間にわたって繰り返しそのブランドを購入したり、肯定的な口コミを拡散することなどがわかっている。さらに近年は、ソーシャルメディア等を介したコミュニティ形成など、ブランドと消費者の関係がより多層的に展開する点も注目されている。ブランド・リレーションシップは、今日のマーケティングにおける重要概念の1つと言える。
本研究会は、久保田進彦氏(青山学院大学経営学部教授)が『ブランド・リレーションシップ』(有斐閣、2024年)を上梓されたことを受けて企画された。同書は、久保田氏のこれまでの膨大な研究成果を整理・体系化し、ブランド・リレーションシップの理論的枠組みを論じた大著である。2025年度日本マーケティング学会マーケティング本大賞(準大賞)を受賞したほか、日本商業学会の2025年学会賞(著書部門・優秀賞)、日本広告学会の2025年学会賞(学術著書部門)も受賞している。
研究会では、まず、久保田氏に同書の内容についてご講演をいただいた。久保田氏は、「ファンとはなにか」という問いを深く掘り下げ、ブランド・リレーションシップが、単なるブランド製品の「リピーター」「愛用者」とは異なる存在であることを、様々な実証研究を通じて示された。加えて、ブランド・リレーションシップの形成・維持に影響する要因についても整理がなされ、参加者にとって今後のブランド戦略を考える上で有益な視点が提供された。さらに、ブランド研究の第一人者である田中洋氏(中央大学名誉教授)より、マーケティングの具体的な事例に照らして久保田氏の研究を解説いただいた。理論と実務をいかに接続しうるかが明確に示され、議論は一層深まった。
久保田氏、田中氏の講演の後には、フロアとの熱心な質疑応答が行われた。参加者からは、企業側のマネジメント上の留意点、ならびにリキッド消費との関連性など、多岐にわたる質問が寄せられた。非常に多くの参加者を得て盛会のうちに終了した。
(文責:杉谷 陽子 上智大学 経済学部 教授 / 研究会リーダー)

