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研究報告会レポート

第5回ブランドマネージャー制度研究報告会レポート「ブランドマネジメントとエフェクチュエーション」

第5回ブランドマネージャー制度研究報告会(東京)> 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:ブランドマネジメントとエフェクチュエーション
ゲスト:玉手 健志 氏(アサヒグループジャパン株式会社 Marketing シニアマネージャー)
日 程:2026年2月25日(水)18:30-20:00
場 所:青山学院大学 青山キャンパス
 
【報告会レポート】
 本研究会では、ブランドマネジャーとしての経験をお持ちの、アサヒグループジャパン株式会社 玉手健志氏をお招きし、近年日本で大きな注目を集めているエフェクチュエーション理論について、その理論的妥当性、学術的課題、そしてマーケティング実務への含意を、多角的な視点から検討した。
 
 はじめに、研究会メンバーの久保田進彦氏が、エフェクチュエーション理論の位置づけと問題点を提示した。同理論は、バージニア大学のサラス・サラスバシー教授によるものであり、起業家の意思決定について体系化した点に大きな意義がある一方で、多くの研究者から疑問点も指摘されていることが説明された。そして海外の研究動向では、エフェクチュエーションが理論というより記述モデルに近く、説明力や反証可能性の点で社会科学としての厳密性に課題があるとの批判が存在すること、それにもかかわらず、日本で急速に普及した背景には、現場志向の強い日本企業と親和性が高いことがあることなどが論じられた。そして、本研究会で取り扱う理由として、同理論は起業家研究の思考様式を整理したものだが、一部のマーケターにも、ある程度まであてはまるのではないかという指摘がなされた。
 
 続いて、同じく研究会メンバーであり、広告業界で豊富な経験を有する佐藤達郎氏が、実務家視点からエフェクチュエーション理論の概略を整理した。エフェクチュエーションは「コーゼーションではない合理性」として位置づけられ、予測可能な状況ではコーゼーションが有効である一方、予測不可能な状況ではエフェクチュエーションが有効であると説明された。特に広告制作などのクリエイティブ実務は、途中段階で予測外の出来事が発生し、エフェクチュエーションに近い。同理論の5つの原則(手中の鳥、許容可能な損失、レモネード、クレージーキルト、飛行機のパイロット)は、非予測的コントロール論理として理解された。
 
 そして、玉手健志氏(アサヒグループジャパン)からブランドマネジメント制度の実情を共有いただいた。戦略とは目的達成のための資源配分の指針であり、資源配分権限を伴うことでブランドマネジャー制度は機能するのではないかという指摘がなされた。一方で、売上・利益といった目標は固定的であるのに対し、利用可能な資源は変化し続けるという現実があり、この点はエフェクチュエーション的発想と親和性を持つ。ただし、起業家が直面する不確実性と、大企業のブランドマネジメントにおける不確実性の度合いは異なる点も指摘された。
 
 最終パートでは、参加者からも実務での状況などをご共有いただき、活発な議論が交わされた。
 
 全体を通じ、本研究会は、エフェクチュエーションを無条件に肯定するのではなく、理論的限界を踏まえた上で、コーゼーションとの補完関係や、実務文脈に応じた使い分けの重要性を再確認する場となった。
 
会場の様子 ゲストの玉手さん
写真左から、会場の様子、ゲストの玉手さん
 
(文責:青木 慶)

 
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