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研究報告会レポート

第14回マーケティング・ツールとしての知的財産研究報告会レポート「『マーケティング×意匠(デザイン)』の実事例」

第14回マーケティング・ツールとしての知的財産研究報告会(オンライン)> 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:「マーケティング×意匠(デザイン)」の実事例
報告者:藤原 宗久良 氏(特許庁 審査第一部 意匠課 課長補佐)
日 程:2025年7月14日(月)19:00-20:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 本報告会では、特許庁の藤原宗久良氏をお招きし、マーケティングにおける有効なツールとしての「意匠権(デザインの権利)」の活用について、最新の法改正や具体的なビジネス事例を交えてご報告いただきました。
 
1.意匠制度の概要と近年の変化
 意匠権は、物品の形状や模様、色彩などの「デザイン」を保護する権利です。令和元年の法改正により、新たに「画像」「建築物」「内装」が保護対象に加わりました。これにより、デジタルのインターフェースや店舗空間など、ビジネスの多様な局面でデザインを権利化できる環境が整っています。
製品の技術を「特許」で守り、ロゴやマークを「商標」で守り、そして外観を「意匠」で守るのみならず、これらを複合的に組み合わせて活用する「知財ミックス」の考え方が、企業の競争優位を築く上で極めて重要であると説明されました。
 
2.クラウドファンディングと意匠権のリスク
 スタートアップや新規事業において、クラウドファンディングで製品を発表する際、意匠権の取得を失念したまま情報を公開してしまう事例が散見されます。一度公開されたデザインは「新しいもの(新規性)」とみなされなくなり、原則として権利化できなくなります。他者の権利を侵害して事業継続が困難になるリスクや、模倣品に対して無防備になるリスクを避けるためにも、プロジェクト公開前の出願や、新規性喪失の例外規定を適切に利用することの重要性が強調されました。
 
3.多様なニーズに応じた活用事例
 報告では、B2CおよびB2Bの様々な成功事例が具体的に紹介されました。
・資生堂:化粧品容器だけでなく、販売ブースの間仕切りや商品陳列台の意匠を取得されています。ユーザーとの接点となるデザインを幅広く保護することで、ブランドイメージを強固にされています。
・三菱電機:掃除機や保湿機において、デザインを価値の中核に据えて新カテゴリーを創出されました。意匠権によって模倣品の発生を防ぎ、ビジネスリスクが排除されています。
・WHILL:次世代パーソナルモビリティの開発において、意匠権を含む知的財産権を積極的に活用されています。模倣品の排除のみならず、投資家に対するアピール材料として活用し、資金調達を有利に進めた事例が紹介されました。
・サーモス:税関での水際対策に意匠権を活用し、数千点規模の模倣品の流入を効率的に阻止されています。
 
4.結論
 意匠権は単なる「守り」の道具ではなく、オリジナリティの証明、信頼性の向上、さらにはライセンス機会の創出といった「攻め」のマーケティング・ツールとして機能します。
 特に、デザインが購買決定の大きな要因となるB2C市場に関わるマーケターにとって、意匠制度を深く理解し戦略的に活用することは、持続可能なブランド構築において不可欠な戦略であると締めくくられました。
 
講演の様子
 

 
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