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研究報告会レポート

第3回学びとマーケティング研究報告会レポート「大学の危機・変わりゆく大学 ― 大衆化と存在意義の再定義 ―」

第3回学びとマーケティング研究報告会(カンファレンス2025> 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:大学の危機・変わりゆく大学 ― 大衆化と存在意義の再定義 ―
日 程:2025年10月12日(日)10:30-11:50
場 所:法政大学 市ケ谷キャンパス
 
プログラム:

  1. 基調講演:大学の危機を総括する ― 現場からのリアル ―
    石渡 嶺司(大学ジャーナリスト)
  2. 事例報告1:女子大学の危機 ― その役割は終えたのか ―
    春木 良且(昭和女子大学 現代ビジネス研究所 研究員)
  3. 事例報告2:学びの転換点 ― アクティブラーニングと生成AI ―
    杉本 卓應(株式会社AIworker 代表取締役)
  4. パネルディスカッション:変わる大学,変われる大学 ― 持続可能な未来のために ―
    当日の報告者による議論

 
【報告会レポート】
1. 開催概要と目的
 本報告会は、私立大学の約6割が定員割れに直面する中、大学の存在意義を現代の視点で再構築することを目的に開催した。人口減少に加えて、AI技術の普及という二重の構造変化に対し、大学がどのような価値を提示すべきか、3名の専門家が多角的な視点から議論を展開しました。
 
2. 基調講演:大学経営の現状と二極化の構造
 基調講演として、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏より、全国の大学がおかれている状況について、数値ベースでの説明があった。内容は3部に分かれ、1:進学の変化と大学の定員割れ、2:大学に対する不安感と実態、規模別の充足率データ、事例として、3:岡山・広島の女子大学の経営分析があった。
 2024年の現役進学率が58.3%と過去最高を記録する一方で、定員4000人未満の小規模校の充足率が顕著に下落している実態が示された。結論として、小規模校、かつ、マーケティング(学部新設)ができない私立大学が苦戦しているとの説明があった。
 
3. 事例報告1:女子大学の社会的使命とその変遷
 事例報告1として、昭和女子大学の春木良且氏より、女子大学の社会的使命とその変遷について説明があった。内容は、女子大学の歴史を明治からバブル期までの「4つの波」で整理し、現代における「女性限定」という枠組みが、多様な学びを制限しているというジレンマについて述べられた。かつては女性の地位向上が明確な目的であったが、現代では支援の対象が性別を超えて広がっている実態が指摘された。結論として、過去の成功体験に依存せず、社会課題を解決する「社会企業」として独自のアイデンティティを再定義することが不可欠であるとの説明があった。
 
4. 事例報告2:生成AIがもたらす教育の転換
 事例報告2として、株式会社AIworkerの杉本卓應氏より、生成AIがもたらす教育のパラダイムシフトについて説明があった。内容は、知識収集をAIに任せることで教育のフェーズを一段高い「構想や哲学」へと引き上げるべきであるとし、アウトプットの70%をAIが担い、残りの30%を人間が担う「70対30の法則」が提示された。計算を電卓に任せることで数学が高度化したように、知の転用こそが今後の学びの本質になるとの指摘があった。結論として、教員は知識の伝達者から、学生の独自性を引き出すメンターへと役割を変える必要があるとの説明があった。
 
5. パネルディスカッション:持続可能な大学改革への提言
 パネルディスカッションでは、登壇者3名と会場参加者を交え、持続可能な大学改革への具体的な提言がなされた。内容は、組織内のベクトルを合わせるための対話(某大学での10時間に及ぶ座談会事例)や、成果物の出来映えではなくAIとのやり取りを評価する「プロセス評価」への転換、そして大学を身体的な交流が生まれる「知の共創ハブ」とする意義について議論された。地方の専門職大学が立地やニーズ分析の誤りで募集停止に至った事例も引き合いに出され、徹底した実務的視点の重要性が共有された。結論として、変化を拒まずAIを使いこなしながら、人間ならではの創造性を育む場として自らを再定義することが、唯一の生存戦略であるとの合意が得られた。
 
6. 総括
 大学の危機は、本来の役割を脱皮し、社会に新たな価値を示すためのチャンスでもある。修学支援制度による大学の大衆化が進む中で、学生一人ひとりに向き合う教育の質が問われている。変化を恐れず、AIをパートナーとして活用しながら、人間ならではの感性や倫理観を磨く場へと進化すること。それこそが、持続可能な教育の未来を切り拓く鍵となる。
 
(文責:松尾 尚)

 
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