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第4回学びとマーケティング研究報告会レポート「大学の『選ばれ方』が変わる ― 入試広報の現状から考える大学の入口 ―」 |
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テーマ:大学の「選ばれ方」が変わる ― 入試広報の現状から考える大学の入口 ―
日 程:2026年3月18日(水)15:00-16:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
【報告会レポート】
1. 開催概要と目的:少子化とデジタル化が変える「大学の選ばれ方」
少子化の深刻化とデジタルシフトの加速により、大学が受験生から選ばれるための仕組み・広報戦略は今、大きな転換期を迎えています。本報告会では、18歳人口の急激な減少と、SNSを主軸とした受験生の情報収集行動の変化という構造的な問題に焦点を当てて、選ばれる大学の要件を考える機会としました。
入試広報を単なる「志願者集め」の手段としてではなく、大学の存在意義を社会に再定義する重要な機会として捉え直し、最新のデータと事例をもとに今後の戦略を探求することを目的としました。
2. 基調講演:2026年 大学入試広報の現状と“入口×出口”視点の打ち手 ― 志願者獲得だけで終わらせない、価値の伝え方と体制づくり
ゲスト講師:宮田 航平 氏(入試広報戦略LABO・株式会社KAYAC SANKO)
宮田氏からは、2026年現在の大学が直面している厳しい現状と、それに対する広報戦略のあり方について、客観的な数値を交えた解説がありました。
日本の18歳人口は、2005年の137万人から2025年には110万人、そして2040年には約74万人にまで激減することが予測されています。この影響はすでに見え始めており、2025年度には私立大学の約53%が定員割れに直面しました。これにより、大学経営は「学生を選ぶ立場」から、いかに「学生に選ばれるか」という立場への転換を余儀なくされています。
また、受験生の志願行動にも変化が見られます。1人あたりの併願校数は平均2.42校まで減少しており、早い段階で納得感のある数校に絞り込む「効率重視」の動きが強まっています。受験生が大学選びで最も重視するのは、知名度よりも「学べる内容(約45%)」であるというデータもあり、入試広報においては、入学後の学びや卒業後のキャリアを統合した「大学の本質的な価値」をいかに誠実に伝えるかが、組織的な課題となっていることが指摘されました。
3. 事例報告:大学SNSの現況2026 ― 商業化の加速か、存在意義の再定義か?
報告者:春木 良且 氏(昭和女子大学 現代ビジネス研究所)
本研究会メンバーの春木氏より、最新のデジタル広報の実態とSNS運用の課題について報告を行いました。
現在の学生の生活においてSNSは完全にインフラ化しており、特にInstagramは女性を中心に82.6%という高い利用率を誇ります。TikTokも6年連続で増加して48.5%に達し、YouTubeはほぼ100%に近い学生が利用しています。
しかし、運用の現場では深刻なジレンマが生じています。多くの大学が認知獲得(バズり)を狙うあまり、大学の本来の姿とはかけ離れたダンス動画などの「商業化」した演出に走る傾向があります。これに対し、デジタルネイティブ世代の学生は加工された情報を敏感に見抜き、より「ありのままの姿」を求めるようになっています。
これからのSNS広報は、表面的な「映え」を競うのではなく、大学の日常や学業のリアル等、すなわち「知のプロセス」を可視化する場所であるべきと考えます。オープンキャンパスという特別な日だけでなく、日々の地道な学びを伝える「知的ドキュメンタリー」としての発信が、受験生との深い信頼関係(エンゲージメント)を築く鍵になります。
4. パネルディスカッション:デジタル広報と大学
登壇者と研究会メンバーによる議論では、持続可能な広報活動を実現するための具体的な提言がなされました。
まず、組織内の連携が大きな壁となっている現状が挙げられました。入試広報部門、教務部門、キャリア支援部門がバラバラに情報を発信するのではなく、全学的なベクトルを合わせるための「対話」の場を設けることが急務であることを確認しました。
また、大学におけるランサムウェア攻撃による被害事例から、SNSにおけるリスク管理の重要性も共有されました。万が一のシステム障害時でも、学生や受験生と確実に繋がることができるセキュアな情報経路として、SNSを戦略的に位置づける必要があります。
最終的に、広報を単なる広告手法の競争として捉えるのではなく、大学が持つ独自の価値を社会とともに創り上げていく「価値の共創」の姿勢こそが、これからの広報の役割であるとの認識で一致しました。
5. 総括
大学が直面している危機は、本来の役割を社会に再定義するための大きなチャンスでもあります。
美しく加工された広告に頼るのではなく、大学での学びそのものを「知的ドキュメンタリー」として継続的に発信すること、そしてSNSを単なる宣伝ツールではなく、受験生との誠実な信頼構築の場へと進化させることが求められています。
変化を恐れることなく、大学の核心的な価値をデジタルという窓を通じて示し続けること。それこそが、受験生から選ばれ続け、持続可能な未来を切り拓くための生存戦略となります。
(文責:松尾 尚)

