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研究報告会レポート

第7回消費者行動と価格戦略研究報告会レポート「ダイナミックプライシングとサブスクリプション・サービスの研究成果紹介」

第7回消費者行動と価格戦略研究報告会(オンライン)> 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:ダイナミックプライシングとサブスクリプション・サービスの研究成果紹介
報告者:佐藤 公俊 氏(神奈川大学 准教授)
    木村 隆介 氏(株式会社リクルート データ推進室)
    太宰 潮 氏(福岡大学 教授)
日 程:2026年3月27日(金)17:00-18:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 日本マーケティング学会において唯一価格を扱うリサーチプロジェクトである本研究会では、これまでダイナミックプライシング(DP)やサブスクリプション・サービス(サブスク)についての研究報告などを行ってきたが、今回もこの2点に焦点を当てて研究報告を行った。
 今回はゲストに神奈川大学でDPやレベニュー・マネジメント(RM)を研究され、実績も豊富な佐藤公俊先生と、株式会社リクルートでDPに関するサポート事業や研究を行う木村氏のお二方を迎え、DPを含むRMについての書籍と、サブスクについて2025年度に出版された2冊の書籍紹介と、ゲストの最新の研究報告が行われた。
 書籍紹介の一冊目は、エリック・ハウゴム氏の書籍を本日の登壇者が全訳した「価格分析とレベニューマネジメント入門 -Excelによる実践アプローチ」(千倉書房)である。
 はじめに佐藤先生より書籍の紹介が行われた。書籍のコアとなる概念は「価格最適化」であり、それは需要に対する価格反応関数の推定であることなどが説明され、近年DPやRMについて出版されている洋書との対比によって、本訳書の立ち位置が示された。
 続いて訳者の3人からそれぞれの推薦箇所の紹介がなされ、佐藤先生からはコア概念である価格反応関数推定の5章が、木村氏からは実務観点から、そもそもどういう事業ドメイン知識から価格を分けて考えるかといった1章の「PROキューブ」の観点をまず事業会社側と共に抑える重要性や、API経由でデータ取得などができる12章のPower Queryが有用であることなどが示された。太宰からは実務現場ではケースや実践を求める声が多いことから、8章のケーススタディが推薦箇所として示された。書籍についての質疑では、参加者より活発な意見交換などがなされた。
 続いて太宰より、「価格と顧客満足から読み解くサブスクリプション」の書籍紹介がなされ、書籍でここだけは読んでほしい点として、3章p.38-41付近のレビュー箇所、5章p.120-127付近の、比率化した価格感度分布が似通う点、そしてp.182の、サブスクの利用程度には顧客満足が大きく動く閾値があり、不満側の閾値は週1の利用であることなどが説明された。
 後半の研究報告では、佐藤先生より映画館の座席選択行動の実証結果が紹介された。後方・中央寄りで、他者から離れた座席が好まれることや、両隣が予約済みであればそれに挟まれる空席は選択されにくくなるが、片側だけが空席である場合、空席の価格を下げたときと空いている側の隣の席の価格を上げたときでは、どちらが空席が選ばれやすくなるかを実験し、後者のほうが空席が選ばれやすくなる結果などが示された。
 続いて木村氏からホテルのキャンセル予測についての研究報告がなされた。キャンセルについての既存研究が少ないことを踏まえ、実データによる予測モデルを行った結果、予測精度の向上と共に利益も向上したことが示された。一部セグメントのキャンセルが多いことや、今後利用する変数などの限界・発展が示され、聴講者からも質疑応答が交わされた。
 最後の締めとして、当リサプロではこれまでDPとサブスクに主眼を置いてきたが、今後もその2テーマはまだまだ実社会において存在感を示し続けるためにトピックとして追っていくが、2027年度以降は拡大している二次流通、中古価格にも焦点を当てていく構想があることが紹介され、閉会となった。
 
 質問頂いた方、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
 
オンライン発表の様子
オンライン発表の様子
 
(文責:太宰 潮)

 
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