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研究報告会レポート

第37回プレイス・ブランディング研究報告会レポート「新たな共創の場づくり」

第37回プレイス・ブランディング研究報告会(オンライン)> 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:新たな共創の場づくり
講 演:ふるさと納税寄付額18倍を実現した繋がりのイノベーション~鹿嶋市オンライン・コミュニティの実践から~
講演者:茂垣 諭 氏(茨城県鹿嶋市 職員)
ファシリテーター:久保 健治 氏(株式会社ヒストリーデザイン代表 / 立命館大学 客員研究員)
日 程:2026年5月28日(木)18:30-20:00
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 第37回ブレイス・ブランディング研究報告会では、鹿嶋市職員の茂垣 諭氏に「ふるさと納税寄付額18倍を実現した繋がりのイノベーション~鹿嶋市オンライン・コミュニティの実践から~」をテーマに、ご講演いただきました。
 まず最初に、鹿嶋市ではコロナ禍と日本製鉄の主要設備休止により、市の人口流出が懸念されていたため、土地に縛られないライフスタイルを活かした移住定住促進を目的として、茂垣氏が中心となって2021年10月に「KASHIMA Colorful Base」というオンラインコミュニティを立ち上げました。現在、鹿嶋市人口63,000人を上回る73,000人の登録者があり、99%以上が市外在住者となっています。
 
ふるさと納税寄付額18倍を実現した繋がりのイノベーション~鹿嶋市オンライン・コミュニティの実践から~
 
 このコミュニティメンバーは特に20代から50代の働く世代が対象となっており、鹿嶋市のふるさと納税プログラムに関心を示したため、コミュニティメンバーとのやり取りの中から出てきた提案――返礼品の品目増加、配送期間の短縮、掲載サイトの拡大などを実際の政策に反映させているそうです。このようにコミュニティメンバーの声に基づいて取り組みを進めており、「自分の意見が反映されたこと」を実感できる仕組みを整えることで、鹿嶋市へのふるさと納税に興味を持つコミュニティメンバーの数が増加しているとのことでした。
 茂垣氏は、テキストマイニングを使用してコミュニティメンバーの意見を分析する中で、子育て環境、医療、教育、環境衛生などの重要なテーマを特定し、教育や医療、風力発電などの4つの分野でふるさと納税型クラウドファンディングを実施、返礼品としてオーガニック野菜や環境保護関連の商品を提供しています。さらに、公式ブログで進捗状況を報告する他、地域の事業者に焦点を当てた情報発信を行うことで、コミュニティとの信頼関係を醸成しているそうです。
 オンライン・コミュニティ活動をとおした信頼醸成のために、市への寄附の使い道を含む予算の執行について、ロジックモデルを活用した事業評価の取り組みがEVIDENCE AWARDS 2025で表彰されました。これはコミュニティをきっかけとして寄せられた鹿嶋市への寄付が、寄付者の意向に沿って有意義に使われていることを第三者視点でお墨付きを与えられていることを示すものです。これらの信頼醸成に係る取り組みの成果として2024年度の「KASHIMA Colorful Base」をきっかけとするふるさと納税では、寄付額は前年度比約2倍に増加しました。このコミュニティのメンバーによるふるさと納税は、それ以外の寄付者によるふるさと納税よりも、一人当たりの寄附単価が約1.8倍となっており、コミュニティのメンバーの関心と意識が深化していることが確認されました。
 鹿嶋市は全国で初めて自治体オンラインコミュニティの開設を進めましたが、総務省のふるさと住民登録制度の影響で他の自治体も次々と同様の取り組みを始めています。茂垣氏は「カラフルベース」運営の5ステップ戦略(崩す、ずらす、返す、変える、意味づける)を紹介し、傍観者から参加者への変化を図る方法について詳しく説明しました。
 質疑応答に関しては、事業に取り組む茂垣氏自身のモチベーションや分析ツール、コミュニティでのインタラクションなどについて、活発に行われました。特に、茂垣氏によると、鹿嶋市のコミュニティで双方向的なコミュニケーションを促進するために、コメントした人に必ず返信する取り組みを行っており、役所のイメージを消すために茂垣個人の露出やキャラクター名称(中の人1号やしかふる1号)を使用しているそうです。コミュニティメンバーとのリアルな交流については、都内のコミュニティスペースでのイベントの成果を紹介してくれました。その他、地域コミュニティ作りにおけるストーリーテリングの重要性と、外部リソースを活用した地域貢献活動の促進なども議論されました。
 以上、「KASHIMA Colorful Base」は、関係人口と地域をつなぐオンラインコミュニティの可能性を追求した事例として学びの多い活動でした。プレイス・ブランディング研究会として、今後も注目していきたいと思います。
 
集合写真

 
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