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研究報告会レポート

第49回価値共創型マーケティング研究報告会レポート「価値共創戦略の実行と成果」

第49回価値共創型マーケティング研究報告会(大阪)> 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:価値共創戦略の実行と成果
日 程:2026年6月6日(土)13:00-15:40
場 所:大阪産業大学 梅田サテライト教室
 
【報告会レポート】
1.あいさつ

村松 潤一(畿央大学)

 村松先生は、本研究会のリーダーとして長年研究会活動を継続することで、すでに価値共創の視点に基づくマーケティング活動が当たり前の時代になってきたことに触れます。さまざまな事例に触れながら、新しいマーケティング視点を明確にするうえで、この研究会の意義は高まっているといえることが、冒頭で示されました。特に大阪での研究会活動は、参加者による活発なディスカッションが展開できる貴重な場でもあることに触れ、参加者とともに研究会活動が盛り上がることへの期待が示されました。
 
2.報告「価値共創マーケティングの意志と能力」

藤岡 芳郎(畿央大学)

藤岡 芳郎 価値共創は構造的に整理することで戦略としてみることができます。藤岡先生は2025年3月に同文舘出版から刊行された『価値共創マーケティングの深化』の第8章に基づく内容をご説明になりました。価値共創自体は事前に成果を規定できないものであり、戦略的に位置づけられないかのようですが、むしろ共創の主体と一緒に活動することを戦略的に位置づけることで、あらゆる成果が創発的に捉えられることに気づくべきです。藤岡先生はこの考えに基づく主体間の構造を「共創システム」とみて諸活動を展開することの意義を説明していきます。この考えは、そのあとの講演の内容を読み解く大きな手掛かりとなるものでした。
 
3.講演1「鎌倉シャツの事業戦略とマーケティング戦略」

佐野 貴宏 氏(メーカーズシャツ鎌倉株式会社 取締役 営業部門統括)

佐野 貴宏 氏 メーカーズシャツ鎌倉(以下「鎌倉シャツ」)は「セールをしない」を貫き、薄利多売の構造からの脱却を目指しています。一般的にアパレルは在庫リスクを見越して製造原価が20〜30%台に下がる傾向にありますが、同社は「確実に売れる商品」であれば製造原価を約50%に設定し、品質・価格の両立を図る方針を取っています。この転機となったのがコロナ禍に販売した高品質布マスクで、SNSで評判を呼び高原価商品を躊躇なく提供できる自信を得ました。以後、植物の残さを染料に使う企画や地域連携による「鎌倉シャツGREAT LOCAL」などを通じて、特徴的な商品の発信力を高めることができました。寺院の住職からの要望で開発した上質な作務衣はクラウド・ファンディングで多くの支持を集め、コレクション化に成功します。さらに超長綿の栽培から紡績、織布、縫製までを国内で一貫して行う「All made in Japan」ドレスシャツの取り組みは、日本の繊維産業と地域活性化を同時に目指すもので、2027年の神奈川万博(GREEN ×EXPO 2027)でのコットン・ファーム展示も計画されています。これらの施策は無駄な大量生産を抑え、作ったものの回収と資源循環を機能させることで、従来の薄利多売依存のビジネス構造を変革し、素材の良さを活かした多様な用途展開と持続可能な価値提供につながっているという事例です。
 
4.講演2「商品の流通から共創へ」

竹中 雄一 氏(ブリコリーブ代表 / 大阪産業大学)

竹中 雄一 氏 竹中氏はご自身のキャリアに大きな特徴があります。それは、繊維商社で卸売と小売の協働による売り場づくりに注力し、売買契約で即時利益を得る仕組みを拒否することで納品先との信頼関係を築いたことでした。すなわち、相手の文脈価値を高めることが結果的に自社の利益につながることをご存じでした。現在代表を務めるブリコリーブでは、大東市・東大阪市の中小企業と学校を結ぶ取り組みを推進しています。探究学習を通じて生徒は地域の課題を学び進路意識を高め、企業側は説明力やコミュニケーション力を養い、採用に結びつく好循環が生まれています。こうした経験から、共創的コミュニケーションは、短期的・対峙的でなく、長期的・対話的な関係性の構築が重要であることが示されました。
 
5.ディスカッション

村松 潤一(畿央大学)
佐野 貴宏 氏(メーカーズシャツ鎌倉株式会社 取締役営業部門統括)
竹中 雄一 氏(ブリコリーブ代表 / 大阪産業大学)

ディスカッションの様子 今回の大阪会場では、鎌倉シャツの独自性の事業戦略が議題になりました。そのなかで佐野氏は、価値提案の重要性やオーナーシップ(短期利益に走らず国内産業重視)を指摘したほか、「価値を感じる顧客」や商品を販売して終わるのではなく顧客が利用/使用するときに感じる文脈価値をとおした共創を重視する姿勢を強調していたのが印象的です。既存顧客との関係に基づく価値の深化(修理対応等)に注力し、安売りによる消耗戦を避けることで、価値共創を前提とした持続的な挑戦を目指す点が確認されました。
 
 次回は第50回研究会となります。本研究会は2013年から13年間活動を継続することで到達した大きな節目となりますので、特別な企画を計画したいと思います。今後の研究会情報にぜひ注目してください。そして多くの方のご参加をお待ちしております。
 
(文責:今村 一真)

 
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