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第24回ソロモン流消費者行動分析研究報告会レポート「ピエール=イヴ・ドンゼ氏講演会『ロレックスの経営史:「ものづくり」から「ゆめづくり」へ』」 |
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テーマ:ピエール=イヴ・ドンゼ氏講演会『ロレックスの経営史:「ものづくり」から「ゆめづくり」へ』(日本語による講演)
報告者:ピエール=イヴ・ドンゼ 氏(大阪大学大学院 経済学研究科 教授)
司 会:松井 剛 氏(一橋大学大学院 経営管理研究科 教授)
日 程:2026年6月12日(金)18:00-19:30
場 所:法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー25階 研究所会議室5
【報告会レポート】
2026年6月12日、大阪大学のピエール=イヴ・ドンゼ先生をお迎えし、ソロモン流消費者行動分析研究会を開催しました。
今回のご講演は、近著『ロレックスの経営史』をベースにしたものです。ロレックスは、社内資料へのアクセスがきわめて限られ、関係者へのインタビューも容易ではない企業です。そのため、その歴史を本格的に跡づけた同書は、ラグジュアリーブランド研究、経営史研究、マーケティング研究のいずれにとっても大変貴重な成果といえます。限られた公開資料や広告、業界資料を丹念に読み解きながら、同社がいかにして高級時計ブランドとしての地位を築いていったのかを明らかにする点に、本研究の大きな意義があります。
ご講演では、ロレックスが、かつて必ずしも高級品ではなかった時計から、使用者に焦点を合わせたナラティブを通じて、アイコニックなラグジュアリーブランドへと転換していったプロセスが紹介されました。とりわけ、製品の精度やものづくりの卓越性を前面に出すセイコーとの比較は、両社の価値創造の違いを浮かび上がらせるものでした。技術的な優位性をどのように意味へと変換し、どのような物語として市場に提示するのかという論点は、日本企業の高付加価値化を考える上でも示唆に富むものでした。ロレックスの事例は、製品そのものの性能だけでなく、消費者が自分自身をどのように語るのかという次元にまで踏み込んでブランド価値を構築してきたことを示しています。
質疑応答では、円安に伴う価格高騰、現在のラグジュアリー市場の変化、希少性の演出、価格政策、日本企業がグローバル市場でどのようにブランド価値を高めていけるのかなど、現代的な論点について多くの質問が寄せられました。歴史研究の報告でありながら、議論は過去にとどまらず、現在そして未来の市場を考える方向へと自然に広がりました。
過去の企業行動や市場形成のプロセスを深く理解するからこそ、現在の変化を相対化し、未来について有意義に議論することができる。そのことを実感させられる、大変刺激的な研究会となりました。

