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第17回インダストリー・イノベーション時代のブランディング研究報告会レポート「乱気流を制するマーケティングからのインダストリーイノベーション」 |
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テーマ:乱気流を制するマーケティングからのインダストリーイノベーション
報 告:3つの鍵となるテーマからの今日的マーケティングについて
黒岩 健一郎(青山学院大学 国際マネジメント研究科 教授)
コメント・補足:川又 啓子(青山学院大学 総合文化政策学部 教授)
議 論:エンドユーザー、アジリティ、エコシステムとマーケティング
ファシリテーター:森 一彦(京都先端科学大学 教授)
日 程:2026年6月11日(木)19:00-21:00
場 所:Zoomによるオンライン開催
【報告会レポート】
概要
「乱気流を制するマーケティング」の著者として2人の著者、黒岩健一郎先生(青山学院大学 国際マネジメント研究科教授)、川又啓子先生(青山学院大学 総合文化政策学部教授)をお迎えして、それぞれの講演の後、参加者を含めてオンライン上で議論を行った。
「3つの鍵となるテーマからの今日的マーケティングについて」
黒岩先生からは、マーケティング・エクセレンスの変化について講演が行われた。秀逸なマーケティングのモデルが、1980年代に定義されたマーケット・オリエンテーションというフレーム(3つの要素①情報生成→②情報普及→③組織的反応)から変化していることを指摘。VUCAなど企業を取り巻く環境での不確実性が高まる今日は、乱気流時代であり、そこでのマーケティングでは、①エンドユーザー ②マーケティングアジリティ、③マーケティング・エコシステム、の3つの視点の重要性を以下のように指摘した。
①目の前の流通や取引先ではなく、最終的に価値を体験する「エンドユーザー」の文脈に入り込み、意外な使い方からのイノベーションを発見する。②修正できる「アジリティ」を組み込むため、複雑な組織構造を簡素化し、意思決定を迅速にする。③自社単独ではなく、他社との連携を通じて新しい知識の組み合わせがイノベーションを生み出す、価値共創する「エコシステム」の前提にビジネスを考える。
黒岩論では、エコシステムの重要性について、東急のアライアンス・プラットフォーム事例を説明し、2015年に始まったこのプログラムがベンチャー企業を支援し、特に東急沿線での事業展開を支援するアクセラレート・プログラムから、2021年に名前を変更し、東急とのエコシステム作成を目的としたプラットフォームに発展した展開を述べた。現在までに796社から提案があり、50件が検討され、20件以上が本格導入、7社が業務提携を結んでいる状況である。
川又先生からは、黒岩論での3つの視点の重要性を補足し、組織間の乱気流に対処する際のアジリティについて、異なる組織の論理を「翻訳」するためのバウンダリー・パーソネルという役割が説明された。また、エコシステムの補足として、上場企業とスタートアップ連携の難しさへ、特にガバナンスの違いからも「翻訳」という組織間でのコミュニケーションの役割や機能について問題提起がなされた。
参加者の感想や質疑応答として、
1)最先端テクノロジーカンファレンスでの情報共有として、テクノロジーの影響からNVIDEAやシーメンス、キャタピラー、レノボなどの企業を事例として、エコシステム外の顧客に対して価値提供を行う新しい構造での共創への重要性が説明された。
2)企業とスタートアップの間でのコンサルティングにおける課題として、特に大企業が新しいビジネスモデルのブレイクスルーを模索している一方、スタートアップが大企業のリソースやナレッジへのアクセスを求めている状況が指摘された。
3)米国と日本のスタートアップカルチャーの違いについて話し、西海岸のスタートアップでは40-50代の経験者がボードメンバーとして活躍するが、日本では上場後のガバナンスの要件によりそのような役割が困難であり、むしろそうしたEldermanがスタートアップに参加することの意義が強調された。
4)日本人のベンチャーに対する評価の低さと、組織に属さない人々に対する慎重な姿勢について言及し、海外とのビジネスの比較から日本社会の強い「組織志向」が指摘された。

(文責:京都先端科学大学 森 一彦)

