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研究報告会レポート

第9回フードビジネス・イノベーション研究報告会レポート「外食産業の人材育成戦略」

第9回 フードビジネス・イノベーション研究報告会 > 研究会の詳細はこちら
フードロスとフードロジスティクス
 
研究報告1「食料ロス、農業・食料サプライチェーンの生産性に関する統計データによるアプローチ」
     小針 美和 氏((株)農林中金総合研究所 調査第一部 主任研究員)
研究報告2「フードロジスティクスに関する現状と課題-フードバリューチェーンの最適化と今後の課題-」
     折笠 俊輔 氏((公財)流通経済研究所 農業・地域振興研究開発室室長 主任研究員)
 
日 程:8月31日(土)14:00-17:00
会 場:公益財団法人流通経済研究所 大会議室(東京都千代田区九段南4-8-21)
共 催:公益財団法人流通経済研究所

 

【報告会レポート】
 2019年8月31日、公益財団法人流通経済研究所と共催で、第9回研究報告会を東京にて開催しました。今回のテーマは「フードロスとフードバリューチェーン」です。
 
 SDGsに対する世界的な関心の高まりとともに、フードロスすなわち食品廃棄やそれに至る過程での未利用資源をいかに減少するかが問題となっています。そして、フードバンクや加工食品の納品期限の緩和などがフードロス対抗策としてマスコミ等で取り上げられ話題になっています。しかし、農業の生産現場から消費者に至るプロセスのどこでどのような理由でフードロスが発生しているのか、その実態の解明はなかなか進んでいません。
 
 そこで、研究報告会では、まず農林中金総合研究所主任研究員の小針美和氏にご登壇いただき、統計データに基づき、日本の食料需給の全体像およびフードロスの実態についてご報告いただきました。一口にフードロスといっても、何をもってフードロスと定義するかは難しく、また、その発生地点も生産現場から流通過程、飲食店や家庭と多岐にわたります。小針氏の報告では、様々な統計資料を用いて、食料需給の全体構造を明らかにするとともに実質ロスの推計値が示されました。また、フードロスを生み出す原因についても、生産段階、流通段階、消費段階に分けてお話しいただきました。
 
 次に、本研究会の企画運営メンバーでもある流通経済研究所の折笠俊輔氏に、フードロジスティクスに関する現状と課題というタイトルでご報告いただきました。今日、日本の生鮮食料品流通は大きな転換期を迎えています。中央卸売市場を介した品目別大量流通から卸売段階を排除した生産者別少量流通への移行がそれです。生産者別少量流通は、個別生産者と個別需要者(食品製造業・小売業・飲食業)との多様な質的適応を可能にし、フードサプライチェーン全体のフードロス削減が期待できます。しかし、生産者別少量流通は物流効率が低く、それが生産者別少量流通の阻害要因となっています。
 
 これを打破するためには、個別生産者の識別と共同配送による生産者別大量流通が必要となるため、政府は、内閣府戦略的イノベーションプログラムのひとつとして、農産物の生産から流通、消費までをデータでつなぐプラットフォームを構築し、共同配送を可能にするスマートフードチェーンの研究開発に取り組んでいます。折笠氏は、この研究開発プロジェクトのメンバーのひとりであり、現在、進行しつつあるスマートフードチェーンの研究開発動向や将来像、そして、それがもたらすフードロス削減を含むSDGsへの貢献についてお話しいただきました。
 
 お二人の研究報告の後のディスカッションでは、フロアの参加者を交えて、フードロスの実態やその対応策、さらに政府が推進するスマートフードチェーンの実現可能性や、それがもたらすメリットおよびデメリットについて活発な議論がなされました。
 

研究報告会場の様子
 
【研究会報告会を終えて】
 土曜日の開催ということもあって、参加者は限られていたものの、参加者の多くが実感している問題ということもあって熱心な議論がなされました。フードロスの削減は、直接生産性向上に結びつくものであり、環境問題としてだけでなく経済問題としても重要な課題だといえます。最後になりましたが、研究報告いただいた小針様および折笠様に改めて感謝申し上げます。お陰様で非常に有意義な研究報告会になりました。
 
 なお、フードサービス・イノベーション研究会では、一緒に研究会を盛り上げてくれる仲間を募集しております。研究会で取り上げて欲しいテーマや報告したい内容、呼んでほしいゲスト等ありましたら、気軽に小林(kobayashi@bus.osaka-cu.ac.jp)までご連絡ください。よろしくお願いいたします。
 
(プロジェクトリーダー:小林哲)

 
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