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研究報告会レポート

第3回場所と地域のブランディング研究報告会レポート「アラスカでコミュニティを創る」

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テーマ:アラスカでコミュニティを創る
報告者:青木 政文(アラスカ物産 代表取締役社長)
コーディネーター:上田 隆穂(学習院大学院 教授)
司 会:小林 哲(大阪市立大学 教授)
 
日 程:2020年10月29日(木)19:00-20:30
場 所:Zoom使用によるオンライン開催
 

【報告会レポート】
 アラスカ物産の青木政文社長からは、まず最初に日本人には知られていないが遠くて近いアラスカの政治体制や地勢、資源に関する報告を受けました。同州はアメリカで最大の面積を誇り、アラスカ州最大の都市アンカレッジとその周辺に人口の50%が集中しますが、州内には沿岸を中心に200人から300人規模の先住民の村々が230近く点在しています。
 こうした村々は、近年では気候変動の影響を大きく受けており、氷河や永久凍土が溶け、洪水なども多発しており、村そのものが移転を余儀なくされているところも出始めています。また、自給自足を基本とし、上下水道や道路といったインフラが整っていない先住民の村々では急激な過疎化が進んでいます。
 

 
 大自然を有するアラスカに惚れ込んだ青木社長は、この地で3つのプロジェクトに取り組んでいます。一つは地域商社としてのアラスカ物産。アラスカに眠る豊富な天然資源を発掘し、高付加価値化、ブランド化に取り組んでいます。二つ目のプロジェクトがOrganic 49 Club。1000人の会員で一つの村を支えるというコンセプトで、生産者と消費者をつなぎ、サスティナブルな商品作りを販売しています。そして、三つ目のプロジェクトが社会問題解決のための(一社)アラスカ協会です。アラスカの村々の発展のための勉強会などを開催しており、日本の地方都市への視察(島根県海士町など)なども行われています。このアラスカ協会のプロジェクトの一つがSCK(サスティナブル・コミュニティ・キッチン)です。
 

 
 アラスカ先住民の村々には、厳しい環境の中、仕事を生み出せるような施設がありませんでした。そこで、青木氏は日本の企業に協力を呼びかけ、過疎化の進む村々の社会問題を解決できるような、最先端の技術とノウハウが詰まった施設を村々に建設することを進めています。このようなプロジェクトを行う中で、青木氏は平和主義であるアラスカ先住民に伝わる「QUYANA(クヤナ)」の精神(感謝の意)を理念として大切にしています。これがアラスカというプレイスのアイデンティティとなっていることを感じました。また、SCKを始めとする青木氏の様々な取り組みが、それぞれに孤立していたアラスカの先住民の村々の交流と協力の重要な契機となっており、村々の自立に向けた重要な取り組みであることがわかりました。現在、コロナ禍の影響で、青木社長のアラスカ行きは実現していませんが、日本国内でアラスカ文化を体験できるクヤナビレッジをつくるなど、今、できることに挑戦しています。
 質疑応答の時間には、SCKの建設に関わる資金的問題の見通し、先住民コミュニティにおける青木氏の受容の経緯、アラスカ州における資源管理とその上でのブランディング・ビジネスの可能性についての議論が積極的に交わされました。最後に、ファシリテーターの上田教授からマーケティング学会におけるアラスカツアーの可能性も提案され、アラスカに魅了される1時間半となりました。
 

 
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