第4回オムニチャネル研究報告会レポート「オムニチャネルのボトルネック‐ラストワンマイルをいかに克服するか‐」 |
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第4回オムニチャネル研究報告会(春のリサプロ祭り・オンライン) > 研究会の詳細はこちら
テーマ:オムニチャネルのボトルネック‐ラストワンマイルをいかに克服するか‐
- 解題
近藤 公彦(小樽商科大学大学院 商学研究科 教授) - 講演「RFIDフル活用によるビームスのEC物流戦略」
竹川 誠(株式会社ビームスホールディングス ロジスティクス本部 副部⾧) - パネルディスカッション
近藤 公彦(同上)
竹川 誠(同上)
角井 亮一(株式会社イー・ロジット 代表取締役社長)
小橋 重信(株式会社リンクス 代表取締役社長)
日 程:2021年3月13日(土)16:30‐18:00
場 所:Zoomによるオンライン開催
【報告会レポート】
本研究報告会は、3部構成で実施されました。まず、第1部は本研究会の座長である小樽商科大学副学長の近藤公彦教授より「オムニチャネルのボトルネックーラストワンマイルをいかに克服するかー」というテーマの解題として、ラストワンマイルとは最終拠点から顧客に荷物を運ぶ物流サービスであり、ラストワンマイル問題にはECの拡大に伴うドライバー不足や不在による再配達問題、コロナ禍での接触回避による再配達の増加を指摘。その解決策として店舗受け取り、宅配ボックスの活用、新聞宅配などの既存インフラの活用などの事例を紹介されました。
第2部は竹川誠氏(ビームスホールディングス ロジスティクス本部 副部長)より、「RFIDフル活用によるビームスのEC物流戦略」と題してご講演頂きました。RFIDとは商品の下げ札に組み込まれたICチップで、2011年から準備をされ、2017年3月で全店舗に配備されるといったご努力の流れを物流センターの動画を交えて具体的な説明をしていただきました。RFID配備の結果、物流倉庫の作業効率化は元より、店舗における棚卸業務の大幅な効率化により販売員の方が接客業務に集中する環境が整備。全社の在庫精度向上によりオムニチャネル化を実現。物流在庫の一元化は、自社ECの売上アップへと繋がりました。オムニチャネルのボトルネックであるラストワンマイルの克服では①庫内オペレーションの効率化・高速化、②商品の梱包・荷姿へのこだわり、③配送の工夫など、先端的な取り組み事例が紹介され、同社のラストワンマイル克服の仕組みを共有させていただきました。
第3部のパネルディスカッションでは、物流・ロジスティクス問題の第一人者である角井 亮一氏(株式会社イー・ロジット 代表取締役社長)、小橋 重信氏(株式会社リンクス 代表取締役社長)両氏の鋭い視点から、これまでのご苦労、業界の裏話など、通常のご講演では、なかなか聞けない内容が聞き出され、理解を深めました。最後に近藤教授よりラストワンマイルとは、ただ単に、顧客のもとに商品が届く距離だけを言うのではなく、空間、時間そして顧客体験の一部までも含む重要な課題であるとの纏めで終了しました。
(文責:杉田 慎一郎)