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研究報告会レポート

第12回アジア・マーケティング研究報告会レポート「外国文化の消費とマーケティング・リサーチ」

#いまマーケティングができること

第12回アジア・マーケティング研究報告会(春のリサプロ祭り・オンライン) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:外国文化の消費とマーケティング・リサーチ
日 程:2022年3月19日(土)14:45-16:15
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【報告会レポート】
 本報告会では、「外国文化の消費とマーケティング・リサーチ」というテーマのもと、以下の2つの研究報告が行われた。
 
研究報告1. 「外国文化の受け入れが消費者行動に与える影響」
金 春姫 氏(成城大学 経済学部 教授)
鎌田 裕美 氏(一橋大学 大学院経営管理研究科 准教授)

 コロナ禍において、自宅にいながらグローバルコンテンツ(e.g. Netflix)に接する機会が増えている。消費者が、他の文化に染まることを意味する文化変容(Cultural Acculturation)をした際に、消費者行動へどのような影響を与えるかを実証した。
 西洋文化圏以外の文脈において、グローバルの流れが消費文化にもたらす影響の実証的研究が少ないという問題意識、Global vs Localという既存研究の文化変容の単純構造への疑問から本研究に取り組んだ。
 分析は、既存研究を応用させた外国文化変容の尺度作成ののち、外国文化変容の製品購買意向への影響を実証した。外国文化変容の具体的な対象として、韓国文化コンテンツ、英米文化コンテンツ、日本文化コンテンツとした。結論として、外国文化変容は、消費者行動に影響を及ぼすことが明らかとなったが、その影響は、どの国からの文化コンテンツに接するかによって異なるうえ、製品カテゴリー間で異なることが紹介された。
 

 

 
研究報告2. 「旅行先への顧客エンゲージメントとノベルティ・シーキング」
上原 渉 氏(一橋大学 大学院経営管理研究科 准教授)
鎌田 裕美 氏(一橋大学 大学院経営管理研究科 准教授)

 近年、COVID-19の感染拡大により、観光客の訪日はほぼ止まった状態にある。日本に来られない現状だからこそ、将来の訪日観光客のモチベーションを探索する、海外旅行先としての日本へのエンゲージメントを研究する意義がある。
 観光におけるエンゲージメント研究には、認知的・感情的・行動的要素の3つの側面があるが、本研究においては行動的な側面に注目し、訪問経験がない場合のエンゲージメント行動と、訪問経験がある場合のエンゲージメント行動を分けて検討した。エンゲージメントと再訪意向の調整効果として、新しさを求めて訪れたことのない観光地に行きたいという感情(Novelty Seeking)を含めた。調査対象は、タイ及び台湾の訪日経験者と訪日未経験者としてデータを取った。
 分析の結果、エンゲージメント、Novelty Seekingは、訪問・再訪意向を高めることがわかったものの、 Novelty Seekingの交互作用は見られなかった。Novelty Seekingには、新規の訪問先という意味と、そこでの新しい経験という意味の2つがある可能性も考えられ、訪問することだけが観光の意味ではないのではないかという今後の議論も紹介された。
 

 

 
報告後の議論
 2つの研究報告の後、司会の薗部靖史氏による発表の要約と、参加者も交えた質疑応答が行われた。
 

 
研究報告1の議論:日本のエスニック・アイデンティティが高い場合の、国別・製品別の消費者行動の違いはどのような理由からなのか。データからでは見えない文脈依存の原因がありそうだと考えられ、今後の展望とされた。
 

 
研究報告2の議論:再訪するほど、Novelty Seekingがエンゲージメントの影響を弱めてしまうのはなぜか。Novelty Seekingの主効果は高いため、新しい観光地に行きたい感情は、訪日・再訪意向を高めていることは言えるだろうと議論された。エンゲージメントの実務的なマーケティング効果としての尺度の意義も議論すべきかもしれないと紹介された。
 

 
(文責:松井 彩子)

 
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