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研究報告会レポート

第5回オムニチャネル研究報告会レポート「コロナ禍における米国小売業の最新事情」

#いまマーケティングができること

第5回オムニチャネル研究報告会(春のリサプロ祭り・オンライン) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:コロナ禍における米国小売業の最新事情
報告者:近藤 公彦 氏(小樽商科大学 教授)
    大島 誠 氏(パナソニック株式会社 エグゼクティブインタストリースペシャリスト)
 
日 程:2022年3月19日(土)13:00-14:30
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
 本研究報告会は、3部構成で実施され、当日は学術関係者、及び実務家含め、30名を超える方々のご参加をいただきました。
 第1部では、本研究会のリーダーである小樽商科大学副学長の近藤公彦教授により本報告会テーマの「コロナ禍における米国小売業の最新事情」について解題がなされました。コロナ禍による米国小売業への影響として、ロード・アンド・テイラー、ニーマン・マーカス、米ブルックスブラザーズなどの老舗企業の経営破綻に触れた上で、そのような厳しい環境下でも変革を進め、新たな挑戦をしている小売業に着目していこうとする本報告会の趣旨の説明がありました。
 第2部では、パナソニック株式会社エグゼクティブインタストリースペシャリストの大島誠氏より、「コロナ禍の米国小売業の最新事情―Iconic RetailerとUnshakable Strategiesに学ぶ―」というテーマでご講演頂きました。まずは、現在の米国小売業が抱える人手不足や物価上昇等の課題や、全米小売業協会の年次総会にあたるNRF Retail’s Big Show 2022においてメタバースの取り組みへの機運が高まっていることを紹介いただきました。
 続いて、ウォルマートに焦点を当て、コロナ禍において同社のEC注文によるピックアップ対応が、店内受け取り型から店外受け取り型へとシフトしていることを、事例を交えて解説いただきました。また、デリバリー強化の新サービス“in HOME”を取り上げ、デリバリーを担うスタッフが顧客の家に入り冷蔵庫・冷凍庫に格納するという同サービスの概要を写真や動画を交えて詳説いただきました。その後、同社の更なるデリバリー強化策として、ドローンや無人自動運転車の活用についても事例紹介がありました。
 次にAmazonにフォーカスし、amazon fresh、amazon groceryの2つの小売フォーマットがamazon freshに統一され、Dash CartやJWO(Just Walk Out)という仕組みをテコに実店舗拡大を進めていこうとする展望を概説いただきました。その上で、米国特有の州独自の条例、例えばペンシルバニア州の消費者に対するアルコール購入量の制限、個人情報取得にシビアなイリノイ州の生体データ取得の禁止など、実店舗を画一化して拡大する上で、amazonが直面すると推察される問題について提示がなされました。
 最後に、顧客にとって“象徴となる店舗”という意味のiconic Retailerを軸にしたウォルマート、amazonについての論説がなされました。具体的には、ウォルマートがEssential retailer(社会の一員として必要不可欠な小売業)になるという明確な姿を標榜した上で、Unshakable Strategies(ブレない戦略)によって、iconic Retailerになりつつあるという存意が示されました。そして、対するamazonについては、あるべき姿や戦略に曖昧さを残している点を指摘した上で、更なる観測の必要性を提起して締めくくられました。
 第3部のパネルディスカッションでは、研究会座長の近藤教授の司会のもと、大島氏、神奈川大学の中見真也准教授、亜細亜大学の西原彰宏准教授にパネラーとして登壇していただき、第2部の内容を掘り下げる形で議論がおこなわれました。パネラーの多様な視点に基づく鋭い質問から、amazonが実店舗で提供している価値やウォルマートとamazonのそれぞれの顧客接点や顧客経験の戦略について、考察を深めました。
 最後に会場の参加者からのリテールメディアの展望についての質疑応答が活発におこなわれて、第5回オムニチャネル研究報告会は終了しました。
 

 
(文責:岩瀬 敦智)

 
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