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研究報告会レポート

第3回サービス・マーケティング研究報告会レポート「ウェルビーイングとマーケティング ― TSR(変革型サービス研究)からのアプローチ ―」

#いまマーケティングができること

第3回 サービス・マーケティング研究報告会(春のリサプロ祭り・オンライン) > 研究会の詳細はこちら
 
テーマ:ウェルビーイングとマーケティング ― TSR(変革型サービス研究)からのアプローチ ―
日 程:2022年3月19日(土)14:45-16:15
場 所:Zoomによるオンライン開催
 
【開催レポート】
 リサーチプロジェクト合同研究会にて、サービスマーケティング研究会を開催し、「ウェルビーイングとマーケティング ― TSR(変革型サービス研究)からのアプローチ ―」をテーマにして、運営メンバーから話題提供を行いながら、ラウンドテーブル形式の討議を行なった。
 

 
 研究会代表・小野譲司氏(青山学院大学経営学部マーケティング学科教授)が、解題として2010年以降、サービスマーケティング研究の優先課題がどう変化したかを概観した上で、人々の生活や社会の変革をもたらすサービスに焦点を当てたTSR(Transformative Service Research)と、そこでの鍵概念となる個人と集団・集合のウェルビーイングの研究意義を紹介した。今回は、当該テーマについての論点を洗い出し、今後の研究の可能性を見出すことにねらいを置いた。
 
 ラウンドテーブル討議では、4名の研究会運営メンバーからの話題提供と議論を行なった。前半は、個人と集団・集合のウェルビーイングをテーマにした話題提供が行われた。
 
 酒井麻衣子氏(中央大学商学部准教授)は、健康を扱うサービスをテーマとする研究において、健康概念をどう捉えるかという問い掛けから、ウェルビーイングの概念について医学的な意味での健康だけでなく、精神的・心理的な健康も含めた様々な捉え方があることを、先行研究を踏まえて整理した。その上で、消費者行動研究で良く知られた手段―目的連鎖モデルの適用可能性など、マーケティング研究で多義的な健康概念をどう捉えるか、また、実証研究を行う上での測定尺度についても言及された。
 
 森藤ちひろ氏(流通科学大学人間社会学部教授)は、地域のウェルビーイングをテーマとした、奈良県吉野町を対象とした事例研究をもとに、集団の自己効力感を鍵概念として、地域住民と旅行者のウェルビーイングを説明する研究の可能性を示した。地域住民の満足度を測定するタイプの従来型の調査・研究とは異なったアプローチで、地域に集う住民と旅行者の集団自己効力感とウェルビーイングから地域活性化のメカニズムを解明する可能性が議論された。
 
 後半は、個人・集団のウェルビーイングを高めるためのマーケティング課題についての話題提供が行われた。
 
 落原大治氏(法政大学大学院経営学研究科博士課程)は、変革型サービスの市場導入における消費者の採用プロセスについて、消費者行動研究の観点からコミュニケーションを中心とした課題が投げかけられた。学習塾が多数立地する都市部とは異なる地方の環境において、オンライン教育サービスは、生徒の学習環境を変革するものである。市場創造プロセスにおいて、様々なマーケティング課題があることは従来から指摘されてきたが、変革型サービスの市場導入と普及においてもそれらの研究知見が活かされ、新たな研究フロンティアがある。
 
 山岡隆志氏(名城大学経営学部教授)は、デジタル領域を中心としたテクノロジーが顧客のエンゲージメントを通していかにウェルビーイングに影響をもたらすかについて、代表的な理論的・実証的研究を紹介しながら、論点を提起した。サービス分野へのデジタルテクノロジー導入は、2010年代から現在に至るサービス研究において極めて大きな位置を占めており、それは変革型サービスのサービスエコシステムの構築やマーケティングにおいても同様である。
 
 前半・後半で示された研究課題や論点に加えて、2022年度サービスマーケティング研究会では、TSR研究やウェルビーイング研究の専門家や実務家をゲストスピーカーに招き、理論的・実証的研究へ繋げたいと考えている(次回は5月下旬を予定)。
 
(文責:小野 譲司)

 
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