日本マーケティング学会員が選ぶ「日本マーケティング本 大賞2020」 |
2020.10.18
日本マーケティング学会員が選ぶ「日本マーケティング本 大賞2020」
日本マーケティング学会は、日本マーケティング学会員が選ぶ「日本マーケティング本 大賞2020」を発表しました。これは、マーケティング理論や実践の普及のため、1年間に日本で出版されたマーケティング書籍(翻訳本を除く)を対象に、日本マーケティング学会の会員が推奨する優れたマーケティング書籍として投票形式で選出するものです。「日本マーケティング本 大賞2020」は、10月18日(日)開催の「マーケティングカンファレンス2020」にて、発表および授賞式が行われました。
本年は、10作品がノミネートされ、2次投票の結果、「日本マーケティング本 大賞 2020」の受賞書籍は以下の通りとなりました。なお、以下の推薦理由は、2次投票の際に記入された個別の推薦理由を事務局でとりまとめたものです。
日本マーケティング本 大賞2020 大賞
*写真左:受賞書籍(詳細へのリンクあり)
写真右:左上から時計回りに、会長の古川一郎氏・近藤公彦氏・中見真也氏・千倉書房の神谷竜介氏
『オムニチャネルと顧客戦略の現在』
近藤 公彦・中見 真也(編著)、千倉書房、2019年10月刊行
推薦理由
「オムニチャネルについてバランス良く書かれた意義の大きい1冊」
マーケティングにおいて関心の高いオムニチャネルについて、体系的かつバランスよくまとめた、理論的貢献と実践的示唆を両立した好著である。オムニチャネルを顧客戦略として捉え、消費者行動、マーケティング、組織、サプライチェーンなど多面的な視点から検討がされている。丁寧な先行研究のレビューが、特徴の異なる多様な事例と結びつけられており、現場の実務家に有意義な視点が得られる。網羅性と具体性を満たす基本書であり、コロナ禍を経てこの先の顧客戦略はどうあるべきかについての示唆にも富んでいる。日本マーケティング学会のリサーチプロジェクトの成果でもあり、研究と実務の融合を目指す学会の理念を体現したものとなっている。
日本マーケティング本 大賞2020 準大賞
*写真左:受賞書籍(詳細へのリンクあり)
写真右:左上から時計回りに、司会の八塩圭子氏・入山章栄氏・会長の古川一郎氏・ダイヤモンド社の肱岡彩氏
『世界標準の経営理論』
入山 章栄、ダイヤモンド社、2019年12月刊行
推薦理由
「膨大かつ良質な経営学研究をコンパクトにまとめ上げた1冊 」
膨大な量の情報を体系的にまとめ上げることで最新の経営学を俯瞰するとともに、良質な学術論文のレビューにより研究が実務に貢献できることを知らしめる良書である。経営学理論の分類と実務への応用が体系的に提示されており、経営学を学ぶ基礎となる一冊である。良質な学術論文がふんだんに紹介されており、学問領域の細分化をものともせず、アメリカを中心に最新の経営学がコンパクトにまとまっている。特筆すべきはそのわかりやすさであり、平易な文章とビジュアル、理解しやすい構成によって、学部生や社会人院生が受ける恩恵は計り知れない。辞書的に使える実用書であると共に、全体を通読すると経営の本質とは何かが見えてくる指南書でもある。
*写真左:受賞書籍(詳細へのリンクあり)
写真右:左上から時計回りに、会長の古川一郎氏・石井裕明氏・千倉書房の岩澤孝氏
『消費者行動における感覚と評価メカニズム:購買意思決定を促す「何となく」の研究』
石井 裕明、千倉書房、2020年1月刊行
推薦理由
「センサリー・マーケティングの先端的理論を示した有用な1冊」
近年注目されている研究対象のセンサリー・マーケティングについて体系的にまとめるとともに、「何となく」という感覚の重要性を示した観点から実務に役立つインプリケーションを与える良書である。流暢性概念や制御焦点理論についての整理がなされるなど、研究対象だけではなく消費者行動研究の理論としても先端的で時流に乗っており、消費者の感覚に関する体系的な書としてユニークでありつつも今後の研究のベースとなるものとなっている。非常に丁寧な実験が積み重ねられた説得力のある優れた学術書であり、学術研究の先端を目指すことが産業界にも貢献し得る知見となることを示す好著である。
マーケティング本 大賞 ノミネート作品2次投票結果
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